「ばね定数の計算ってどうやるんだっけ…?」
「直列と並列の違いが理解できていない…」
このような疑問にお答えします。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在はメーカーで機械設計士として働いています。
今回は、ばね選定の際に必須となる「ばね定数の計算方法」を解説します。
この記事を読むとできるようになること。
- ばね定数とは何かがわかる
- ばねに発生する力を計算できるようになる
- 用途に応じて適切なばねを選定できるようになる
ばねを選定する際は、ばねに作用する荷重から適切なばね定数を選択することが大切。
中学や高校の物理でも習う内容なので、忘れてしまっているという方は、ぜひ本記事で復習しましょう。
ばね定数とは
ばねに発生する力Fは、ばねの伸び(縮み)量xに比例します。
これをフックの法則と言い、この時の比例定数kがばね定数です。
式で表すと以下のとおり。
F = kx
上式から、ばね定数kが大きいほど、ばねを変形させるのにより大きな力が必要であることがわかります。
つまり、ばね定数はばねの伸びにくさを表すのです。
ばね定数は、ばねの材質によって変化します。
実際の設計では、用途に応じて適切なばね定数のばねを選定することが大切です。
ばね定数の計算方法
ばねを複数個使う場合、その接続方法によってばね定数は変化します。
具体的には、直列接続と並列接続の2種類。
順番に説明していきます。
直列接続のばね定数
2つのばねを直列につなげる場合、それぞれのばね定数をk1、k2とすると、全体としてのばね定数Kは以下の式で求められます。
1/K = 1/k1 + 1/k2
単純に、k1+k2ではないので注意が必要。
ちなみに、式の導出方法は以下のとおりです。
ばねを力Fで引っ張った時の伸びをx1、x2とすると、それぞれのばねでフックの法則が成り立ちます。
F = k1・x1
F = k2・x2
したがって、x1、x2は以下のとおり。
x1 = F/k1
x2 = F/k2
ここで、全体のばね定数をKとすると、フックの法則から以下の式が成り立ちます。
F = K(x1+x2)
この式に、さきほど求めたx1、x2を代入すると、合成ばね定数Kが求められます。
F = K(F/k1+F/k2)
1/K = 1/k1 + 1/k2
上式から、ばねの数を増やすと、全体のばね定数は小さくなる、すなわちばねが伸びやすくなることがわかります。
並列接続のばね定数
つづいて、ばねを並列につないだ場合のばね定数を考えます。
式で表すと以下のとおり。単純な足し算として表されます。
K = k1 + k2
また、導出方法は以下のとおり。
ばねを力Fで引っ張った時、それぞれのばねに作用する力をF1、F2とします。
伸び量xは2つのばねで同じなので、フックの法則はそれぞれ以下のとおり。
F1 = k1・x
F2 = k2・x
また、全体のばね定数をKとすると、フックの法則は以下のとおり。
F = Kx
ここで、F=(F1+F2)なので、代入すると全体のばね定数Kが求められます。
(F1+F2) = Kx
(k1x + k2x) = Kx
K = k1 + k2
並列接続では、ばねの数を増やすとばね定数が大きくなる、すなわち伸びにくくなることがわかります。
まとめ:ばねに発生する力を計算しよう!
記事のポイントをまとめます。
- ばねに発生する力は、ばねの変形量に比例する(フックの法則)
- ばね定数は、ばねの伸びにくさを表す
- 直列接続では、ばねの数が増えるほどばね定数が小さくなる(ばねが伸びやすくなる)
- 並列接続では、ばねの数が増えるほどばね定数が大きくなる(ばねが伸びにくくなる)
以上です。
ばねの選定では、ばね定数とばねに発生する力の理解が必須。
フックの法則を忘れてしまっていた方は、この機会にしっかり復習しておきましょう!
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