「ギア比ってなに?」
「そもそもギア(歯車)ってなんで使われてる?」
「ギア比の計算を教えてほしい…!」
このような疑問を解決します。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は機械設計士として働いています。
本記事では、機械力学を学ぶ第6ステップとして「歯車の運動方程式」について解説します。
この記事を読むとできるようになること。
- ギアの役割がわかる
- ギア比の計算方法がわかる
- ディファレンシャルギアの仕組みがわかる
機械設計では、回転機構をともなった製品の設計をすることがよくあります。
中でもギアはよく使われる部品です。
歯車の運動方程式を理解しておけば、機械設計の仕事にも必ず役立ちますので、ぜひここで身につけておきましょう。
前回の記事はこちら
ギア比とは
ギアの役割は、ずばり動力の伝達です。
たとえば、車はエンジンの動力をギアで伝達してタイヤを動かしています。
ギアを使う主な理由は、回転数とトルクの制御です。
具体的に言うと、回転数が速い動力源(エンジン、モーターなど)はトルクが小さくなります。
そこで、ギアを使って回転数を落とし、代わりにトルクを上げて駆動力を確保するのです。
このとき、動力の供給側(入力軸)と受け取り側(出力軸)で対となるギアの歯数の比をギア比と言います。
入力軸の歯数をA、出力軸の歯数をBとすると、ギア比Gは以下のとおり。
G = B / A
ギアを使うことで、出力軸の回転数を落とし、トルクをG倍にすることができます。
機械設計の仕事では、機械を動かすのに必要なトルクからギア比を求めたり、逆にギア比から発生するトルクを求めたりといった計算をします。
ディファレンシャルギアの仕組み
ギアを使った製品の例として、自動車のディファレンシャルギアを紹介します。
自動車はコーナーを曲がる際、左右のタイヤの回転数が異なります。
具体的に言うと、右に曲がるときは左側のタイヤ(外輪)が多く回りますし、左に曲がるときはその逆です。
しかしながら、エンジンは1つしかありませんから、普通につないだら左右のタイヤの回転数は同じになってしまいます。
そこで登場するのが、ディファレンシャルギアです。
ディファレンシャルギアは、図のように内部に複数のギアを持っています。
これによって、エンジンの回転が左右に分配されて、カーブを曲がることができるのです。
詳細は動画の方がわかりやすいので、参考動画を貼っておきます。
まとめ:ギアは動力の伝達手段
記事のポイントをまとめます。
- ギアの役割は動力の伝達
- ギアを使って回転数を落とし、代わりにトルクを上げて駆動力を確保する
- 入力軸と出力軸の歯数の比がギア比
- ギアを使うと出力軸のトルクはG倍になる
- ディファレンシャルギアを使えば、回転を左右に分配できる
以上です。
機械の内部には、動力の伝達に多くのギアが使われています。
今回は自動車を例にあげて説明しましたが、その他にもギアを使った製品はたくさんあります。
興味がある方は、ぜひ調べてみると面白いでしょう!
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