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仕事の原理とは?身近な例を使ってわかりやすく解説

仕事の原理とは?身近な例を使ってわかりやすく解説機械力学
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「仕事の原理ってなに?」

「機械が仕事をするってよくわからない…」

「身近な例を教えてほしい…!」

このような疑問を解決します。

こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。

2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は機械設計士として働いています。

本記事では、機械力学を学ぶ第4ステップとして「機械力学の仕事の原理」について解説します。

この記事を読むとできるようになること。

  • 機械力学の仕事の原理がわかる
  • 仕事の原理の身近な例がわかる

「仕事の原理」は、機械力学の重要な法則の1つです。

身の回りの機械や製品は、この仕事の原理を活用しているので、ここで確実に理解しておきましょう。

前回の記事はこちら

仕事の原理とは

物体に力F[N]を加えて、その物体が距離s[m]だけ移動したとき、F × sを仕事W[J]と言います。

力が物体に対して「仕事」をしたということです。

W = F × s [J]

仕事の原理

ここで上式から、力が1/2倍になっても2倍の距離を動かせば、仕事の大きさは同じであることがわかります。

たとえば、ペンチを使うと、手を使う場合に比べて小さい力で同じ量だけ物体をつぶすことができます。

ペンチの長さが2倍になれば1/2の力、3倍になれば1/3の力、、、といった感じです。

つまり、ペンチはその長さに応じて力を倍増させますが、ペンチを押し込む距離は小さくなるため仕事の大きさは変わりません。

このように、摩擦や熱による損失がない限り、仕事の大きさが変わらないことを「仕事の原理」と言います。

ペンチの仕事

ただし、物体が動かなければ仕事は発生しません。

たとえば、どんなに強く押し込んでも、物体が1mmもつぶれなければ仕事は0です。

この場合、加えた力は、心拍数の増加や発汗・発熱などの損失となっています。

仕事の原理の身近な例3つ

仕事の原理の身近な例3つ

ここからは、仕事の原理を使った身近な例を3つ紹介します。

リニアガイドがする仕事

1つ目は、リニアガイドがする仕事です。

リニアガイドとは、直線上(リニア)を滑らかに運動させるための部品(ガイド)のこと。

搬送装置や駆動系など、正確な直線運動が必要な箇所に使われています。

リニアガイド

リニアガイドの特徴は、ガイドに水平な方向(滑る方向)の仕事は伝達し、垂直な方向(滑らない方向)の仕事は伝達しないことです。

これは、さきほど言った「物体が動かなければ仕事はゼロ」という仕事の原理の具体例を表しています。

複数のリニアガイドを組み合わせれば、力の方向を変えて、仕事を伝達することができます。

スパナがする仕事

2つ目は機械設計の仕事でもよく使うスパナです。

ペンチと同じで、スパナも長い方が、少ない力で強く締め付けることができます。

スパナによって発生する回転方向の仕事は、モーメント、またはトルクと言います。

式は同じ「力×距離」ですが、単位はジュール[J]ではなく、そのまま[N・m]を使います。

M = F × r

スパナの仕事

ここで、より効率的に締め込みたければ、なるべく回転方向(スパナの持ち手に垂直な向き)に力を加える必要があります。

力の方向がずれると、その分力が回転方向に伝わらず、締めるのが硬いと感じてしまいますよね。

極端な話、半径方向(スパナの持ち手と平行な向き)にいくら力を加えても、回転させることはできません。

スパナの仕事

したがって、力のモーメントM(回転方向の仕事)は、以下の式で表すことができます。

M =(力の大きさ)×(回転中心から作用点までの距離)×(力の向き)

= F × r × sinθ

自転車のギアがする仕事

3つ目は、自転車のギアについて考えてみます。

自転車のギアは、チェーンと2つのスプロケットを使って、ペダルを踏む力を自転車が進む推力に変換しています。

自転車の仕事と推力

まず、人が大きさfの力でペダルを踏み込むと、f × r のトルクがペダルまわりに発生します。

T = f × r

ペダルが回転すると、同じ分だけチェーンも回転するので、仕事の原理からチェーンまわりのトルクもf × r です。

したがって、チェーンの張力をf’、前スプロケットの半径をr1とすると、以下の式が成り立ちます。

f’ = f(r/r1)

さらに、後スプロケットの軸まわりのトルクは、チェーンの張力f’を使って表すと以下のとおり。

f’ × r2 = f(r/r1) × r2

これがタイヤ周りのトルク F × R と等しくなるので以下の式が成り立ち、推力Fが求められます。

F × R = f(r/r1) × r2

F = f × (rr2)/(r1R)

上式から、推力Fを大きくしたいなら、後スプロケットの半径(歯数)r2を大きくするか、前スプロケットの半径(歯数)r1を小さくすればよいことがわかります。

自転車で坂道を登るときはギアを落と(軽く)しますが、これはr2を大きくして推力Fを大きくしているのです。

ただし、仕事の原理から、推力Fを増やすとペダル1回転あたりの距離は短くなります。

まとめ:機械はさまざまな仕事をする

まとめ:機械は様々な仕事をする

記事のポイントをまとめます。

  • 物体に力を加えると、力は物体に対して仕事をする
  • 仕事W[J]は、力F[N]×移動距離s[m]で表される
  • 損失がない限り、仕事の大きさが変わらないことを仕事の原理と言う
  • 力を加えても、物体が動かなければ仕事はゼロ

以上です。

「仕事の原理」は、機械力学の重要な法則の1つ。

身の回りの様々な機械や製品で仕事の原理が使われているので、ぜひ理解して使いこなせるようになってください!

次の記事はこちら。

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