「溶接の勉強がしたい」
「アーク溶接とかティグ溶接とか、種類がよくわからない…」
「それぞれどうやって使い分けている?」
「溶接図面の書き方、設計のポイントが知りたい」
このような疑問を解決します。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在はメーカーで機械設計エンジニアとして働いています。
本記事では、「溶接の基礎知識」をわかりやすく解説します。
この記事を読むとわかること。
- 溶接のメリット・デメリットがわかる
- 溶接の種類と使い分けがわかる
- 溶接図面の書き方がわかる
- 溶接部品を設計する時のポイントがわかる
日用品から自動車や飛行機、ビルや工場など、僕たちの回りには溶接でつくられた製品がたくさんあります。
ネジやボルトを使わずに部品を接合できるのが溶接のメリットですが、作業には知識と経験が必要。
また、作業者だけでなく、溶接部品を設計する僕たち機械エンジニアにも基本的な知識が求められます。
そこで本記事では、溶接の基礎知識として溶接の種類から、その使い分け、メリット・デメリットをわかりやすくまとめました。
設計時のポイントも紹介しているので、溶接の勉強がしたい方は、ぜひ参考にしてください。
溶接とは
溶接とは、熱や圧力を使って金属を溶かして接合する方法です。
ネジやボルトを使って組み立てる機械的接合に対して、金属が持つ性質を利用して接合するので冶金(やきん)的接合と呼ばれます。
ネジを使う機械的接合は、ドライバーや六角レンチを使って簡単に取り付け・取り外しできるのがメリット。
金属だけでなく、プラスチックなども固定できます。
ただし、接合部は”点”になるので、モノによっては強度計算が必要なことも。
強度を上げるためにネジを増やすと、工数の増加にもつながります。
一方、溶接は点ではなく”線”で接合するので、強度が高いのがメリット。
気密性にもすぐれているので、タンクやボンベのような密閉容器にも使われます。
ただし、熱や圧力をかけて部品を接合するので、部品自体に変形や応力(残留応力)が発生してしまうのがデメリット。
また、ボルトと違って作業に専門知識と経験が必要なので、溶接作業を行うには特別な教育を受ける必要があります。
作業者によって品質にばらつきが出るのも、デメリットと言えるでしょう。
溶接の種類
溶接は、接合の仕組みによって3種類に分けられます。
具体的には、融接・圧接・ろう接の3つです。
融接は、金属の接合部を熱や光(レーザー光)で溶かして接合する方法。
使用するエネルギー源によって、ガス溶接、アーク溶接、レーザー溶接などの種類があります。
圧接は、接合部を加熱したあと圧力を加えて接合する方法。
こちらも圧力のかけ方によって、ガス圧接、摩擦圧接、抵抗溶接などの種類があります。
ろう接は、接合部のすき間に母材より融点が低い金属を溶かして浸透させる接合方法です。
溶かし込むろう材の種類によって、融点が450℃以上の硬ろう付(プレージング)と、450℃未満の軟ろう付(はんだ付け)にわかれます。
溶接図面の書き方
図面で溶接を指示する場合は、溶接記号を使います。
具体的には、下図のような記号です。
溶接記号は、①矢・②基線・③溶接部記号からなり、それぞれ記入のルールがあります。
ルールを知らないと、設計者の意図が溶接作業者に正しく伝わらないので、きちんと理解して使いこなせることが大切。
詳しくは下記で解説しているので、ぜひ勉強しておきましょう。
溶接部品を設計する時のポイント
さいごに、溶接部品を設計する時のポイントを1つ紹介しておきます。
それは、ずばり溶接ができる形状に設計すること。
たとえば、アーク溶接ならトーチが入るスペースを設けておく、電子ビーム溶接なら真空チャンバーに入る部品サイズにするなどです。
溶接に限らず、機械設計でありがちなのが、CAD上ならつくれるけど実際には加工できないというケースです。
設計の段階では3DCADを使っているので、どうしても「実際に加工できるか」という検討がおろそかになりがち。部
設計が終わっていざ加工を依頼したら、「曲げRが小さすぎて加工できない」「トーチが入らないから全周溶接できない」などの要求が加工メーカーから入ることがあります。
そうなると、再検討や形状の見直しが必要になるので、時間も手間もかかってよくありません。
したがって、溶接部品の設計では、溶接できる形状にすることが大切。
場合によっては、事前に加工メーカーに「この形状で溶接できるか」を問い合わせることもあります。
まとめ:溶接の基礎を身につけよう!
以上、溶接の基礎知識として、種類、特徴、メリット・デメリット、図面の書き方をわかりやすく解説しました。
溶接は、作業者だけでなく設計者にも正しい知識が必要。
それぞれの種類の特徴や図面の書き方を理解しておくことで、作業ミスや不良が減り、品質改善にもつながります。
今回紹介したのは、ほんの基礎の部分なので、詳しく勉強したい方はぜひ自分でも調べてみるといいでしょう!
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