「部品の固定方法で悩んでいる…」
「市販の固定具と専用の治具を設計するの、どっちがいいかな?」
「固定の基本的な考え方が知りたい」
このような疑問を解決します。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在はメーカーで機械設計エンジニアとして働いています。
本記事では、機械設計で必要な「部品の固定方法」を解説します。
この記事を読むとできるようになること。
- 固定の基本的な考え方がわかる
- 事例別に部品の固定方法がわかる
- 適切な固定治具を設計できるようになる
部品の固定は、治具設計の基本。
治具は誰でも簡単に使えることが前提なので、固定方法においてもシンプルな構造が求められます。
今回は、そんな部品の固定方法とその考え方をわかりやすく解説します。
固定治具の設計で困っている方は、ぜひ参考にしてください。
固定の基本原則
固定治具を設計する際は、下記3点が基本です。
- ズレないよう確実に保持すること
- 押さえた力で部品が変形しないこと
- 部品が傷つかないこと
固定する部品は製品として売られるわけですから、変形したり傷がついたりしてはいけません。
そのためには、部品がズレないかつ変形や傷がつかない、適切な押し付け力で保持することが求められます。
固定治具に求められる条件
固定治具に求められる条件は、以下の3つです。
- 構造がシンプルであること
- ワンタッチで固定と解除ができること
- 締め付け力が維持されること
治具は基本的に手作業で使用するので、誰でも簡単に扱える必要があります。
そのために、構造はできるだけシンプルなのが望ましいです。
また、3つ目については、手を離しても(力を加えるのを止めても)固定が維持されるということ。
締め付け力が維持されないと、固定中に手が離せなくなって、作業性が悪くなります。
部品の固定方法
部品の固定は、市販の固定具を使う方法と、専用の固定治具を設計する方法の2つに分かれます。
市販の固定具
市販の固定具を使用するメリットは、以下の3つ
- 安い
- すぐに手に入る(納期が短い)
- 信頼性が高い(実績がある)
専用の固定治具を設計するよりも、「安い・早い・上手い」ので、基本的には市販品を選定するのが理想。
市販の固定具が使えない場合にのみ、治具を新規設計しましょう。
ちなみに、市販の固定具には以下のようなモノが挙げられます。
名称 | 用途 |
---|---|
ネジ | 部品の締め付け |
キー | 回転防止 |
ノブ | 部品の締め付け |
ハンドル | 部品の締め付け |
レバー | ねじ締め、部品の固定 |
クランプ | 部品の固定 |
プランジャ | 部品の固定、位置決め |
バイス(万力) | 部品の固定、ピンの圧入 |
固定治具の設計
新規で固定治具を設計する場合は、最初に言った「固定の基本原則と条件」を押さえることが大切です。
たとえば、締め付けて固定する場合は普通のネジではなく、クランピングボルトという先端が球面になったネジを使うことで、部品に傷がつくことを防止できます。
また、ねじ穴などはダルマ穴や切り欠き穴にすることで、着脱が簡単になり、作業性がアップします。
まとめ:固定の基本と条件を押さえよう!
記事のポイントをまとめます。
- 固定の基本は、対象物を確実に保持すること・押さえた力で変形しないこと・傷がつかないことの3つ
- 固定治具に求められる条件は、誰でも簡単に使えること
- 市販の固定具は、専用治具よりも安い・早い・上手い
- 新規で固定治具を設計する場合は、固定の基本と条件に気をつける
以上です。
部品の固定は、機械設計の基本。
固定治具を選定・設計する場合は、固定の基本を押さえておきましょう!
コメント