「新卒で機械設計になったけど、デザインレビューってなに?」
「この前初めてデザインレビューを経験したけど、ダメ出しされまくった…」
「どうやったらデザインレビューが上手くいくのか知りたい…!」
このような疑問や悩みを解決します。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は製造装置メーカーで機械設計士として働いています。
今回は、「デザインレビューとは何か」と「デザインレビューを乗り切るための心得」を紹介します。
機械設計の仕事では、デザインレビューというものが必ずあります。
上司からダメ出しされることも多いですが、事前にしっかり準備をしておけば、上手く乗り切れるはず。
「デザインレビューが苦手…」という方は、ぜひ記事の内容を参考にしてください。
デザインレビュー(DR)とは
デザインレビューとは、設計(デザイン)に問題がないかどうかを関係者で再確認(レビュー)すること。
英語で、DR(Design Review)と略されることも多いです。
機械設計の仕事は、「構想設計→基本設計→詳細設計」の順に進んでいきます。
それぞれの簡単な説明は、以下のとおり。
- 構想設計・・・製品のコンセプトや要求仕様を決める
- 基本設計・・・コンセプトにしたがって、CADでモデルを作成(設計)する
- 詳細設計・・・設計した部品を作るための図面を作成する
各設計の間では、デザインレビューを開催して、設計内容に問題がないかどうかを確認します。
たとえば、基本設計が終わったら、「組み立てづらい」「強度が不十分」「コストが高い」などの問題がないかをレビューします。
何か改善点が出てくれば、この段階で修正します。
最終的に問題がないことが確認できれば、上司から承認をもらって、次の設計段階へ移行するといった流れ。
デザインレビューは、不具合のない製品を設計するために必要な作業なのです。
デザインレビューでダメ出しされる理由
ネットでデザインレビューを検索すると、「デザインレビュー いじめ」といったキーワードが出てきます。
これは、デザインレビューの性質上、設計者が上司にダメ出しを受けやすいためです。
具体的に説明すると、デザインレビューでは、設計者が上司に設計内容を説明します。
たとえば、僕みたいな若手設計士の場合は直属の先輩、中堅社員の場合は課長や部長といった役職の方へ向けて説明するといったイメージ。
自分よりも決定権がある人たちに説明することになるので、会社によっては、上司の言いなり的な感じになってしまうことがあります。
もちろん、上司は自分よりも経験があるので、本当に設計に問題があって意見をくれる場合がほとんど。
特に僕みたいな若手の設計は、検討が不十分だったり、もっと良い方法があるのにということも多いです。
しかしながら、一方で「他人の設計は客観的に悪いところが見えやすい」という性質もあり、上司によっては思いつきで無茶な要求をしてくる場合もあります。
他人のダメなところは目につきやすいので、ダメ出しされすぎて「いじめ」みたいになる可能性があるということです。
デザインレビューを乗り切るための3つの心得
では、デザインレビューを上手に乗り切るためにはどうすればいいかというお話をします。
ダメ出しをされないことは不可能なので、ここでは、無茶な要求を受けた場合にどうやって乗り切るかという方法を3つ紹介します。
質問には論理的に答える
1つ目に大切なのは、相手の質問や要求には論理的に回答すること。
「多分…」とか「〜と思います」という答え方だと、「本当に大丈夫?」「データはあるの?」と言われてしまいます。
グラフや実験データを使って論理的に説明すれば、上司も納得して引き下がってくれる場合が多いです。
簡単な例だと、たとえば「この材料を使ってるけど、強度は大丈夫?」と聞かれたとします。
ここで、単純に「SUS304(強度が高い材料)なので大丈夫です」と答えるのではなく、「安全率3で強度計算したところ問題ありませんでした」と言って計算結果を見せると、より説得力がありますよね。
実際の使用環境を想定して強度計算をしておけば、相手も納得しやすいです。
他にも、「こういう設計はできないの?」みたいな少し無茶な要求を受けたら、論理的に説明することで断りやすくなり、設計者の負担を減らせます。
事前に答えを準備しておく
2つ目は、事前に答えを準備しておくこと。
質問や要求に論理的に答えるためには、事前にグラフやデータなどの資料を準備しておくことが大切です。
具体的には、デザインレビューで聞かれそうな質問を想定して、それを説明できるようにしておくこと。
自分の設計を一度見直してみて、「なんでコレにしたんだっけ?」とか「こういう設計はどうかな?」みたいな疑問点を洗い出します。
そして、洗い出した疑問点に対して論理的に答えられるような資料を準備しておきましょう。
ちなみに、実際のレビューでは、一から十まで全部説明する必要はありません。
「聞かれたら答えられる」という準備をしておけばOKです。
余計なスライドは削除する
3つ目は、余計なスライド(資料)は説明しないこと。
結果が好ましくないデータや、突っ込まれそうな資料は、わざわざ説明する必要はありません。
削除するか、参考資料として後ろの方に残しておくのがいいでしょう。
自分で説明できない資料を見せてしまうと、突っ込まれたときに困ります。
その場で対処できればいいですが、「じゃあもう一回検討して」みたいな話になると、設計者の負担が増えますし、スケジュールとしても遅延が生じます。
もちろん、重要な内容なら再検討する必要がありますが、本質から脱線したような内容の場合は、検討しても時間の無駄です。
資料に書かれている内容はすべて自分で説明できること。これを意識することが大切です。
まとめ:デザインレビューは事前準備が大切
記事の内容をまとめます。
- デザインレビューとは、設計(デザイン)に問題がないかどうかを関係者で再確認(レビュー)すること
- デザインレビューは、不具合のない製品を設計するために必要な作業
- デザインレビューを上手に乗り切るためには、論理的に答えることが大切
以上です。
デザインレビューは、機械設計エンジニアが必ず経験する壁と言えます。
若手のうちはダメ出しされることも多いですが、しっかり準備をしておけば、上手に乗り切れるはず。
デザインレビューは、事前準備が大切です。
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