「仕事で位置決め治具の設計を任されたけど…」
「部品の位置決めってどうするのが正解?」
「位置決めの基本と考え方が知りたい」
このような疑問を解決します。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在はメーカーで機械設計エンジニアとして働いています。
本記事では、機械設計で必要な「位置決めの基本と考え方」を解説します。
この記事を読むとできるようになること。
- 位置決めの基本的な考え方がわかる
- 事例別の位置決め方法がわかる
- 適切な位置決め治具を設計できるようになる
より品質の高い製品を組み上げるためには、部品同士の正しい位置決めが必須。
位置決めが不適切だと、製品ごとに形状や性能がばらついてしまいます。
今回は、そんな位置決めの基本的な考え方から、具体的な方法まで、2つの事例を使ってわかりやすく解説します。
部品の位置決めで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
位置決めの基本的な考え方
位置決めの基本は、前後(x軸)・左右(y軸)・上下(z軸)の動きを決めることです。
これらは、それぞれ軸に沿う動きと、軸を中心に回転する動きの2つがあります。
- x軸に沿う動き
- y軸に沿う動き
- z軸に沿う動き
- x軸を中心に回転する動き
- y軸を中心に回転する動き
- z軸を中心に回転する動き
以上6つの動きを決めることで、部品の位置を決めることができるのです。
位置決めの方法
ここからは、位置決めの具体的な方法を事例とともに紹介していきます。
角形状の位置決め
角形状部品の位置決めは、「3・2・1の法則」が基本です。
具体的には、各平面をそれぞれ3点、2点、1点で保持して位置を決めます。
ここで、はじめの平面保持が3点ではなく4点だった場合を考えてみましょう。
加工のばらつきがあるので、どんなに精度の良い平面でも、4点が同時に接触することはありえません。
3点は接触していても、残りの1点が浮いている状態になります。
このとき、さきほど言った加工平面のばらつきから、4点あるうちのどの3点が接触しているかによって傾きが変わり、位置が決まらなくなってしまいます。
したがって、角形状の位置決めでは、「3・2・1の法則」が基本なのです。
丸形状の位置決め
角形状とちがって丸形状の部品は、平面が2つ(側面と底面)しかありません。
したがって、6つの動きを決めるという考え方は同じですが、その方法が少し異なります。
具体的には、回転方向の動きを締め付けによる摩擦力で止めるか、キーを使って物理的に止める必要があるということです。
たとえば、丸形状の位置決め治具として市販されているVブロックを使って、x軸・z軸中心の回転を止めたとします。
ここで、y軸中心の回転を止めるためには、上図で部品を上から押さえて回転を防止するか、キーを使って回転を防止するかの2択です。
上記のように、丸形状の部品では、回転方向の動きを決める方法が、角形状の部品と少し異なります。
まとめ:位置決めの基本は6つの動きを決めること!
記事のポイントをまとめます。
- 位置決めの基本は、前後(x軸)・左右(y軸)・上下(z軸)の動きを決めること
- それぞれ軸に沿う動きと、軸を中心に回転する動きの2つがある
- 角形状部品の位置決めは「3・2・1の法則」が基本
- 平面の位置は、3点が理想で4点では決まらない
- 丸形状部品の位置決めは、回転方向の動きを締め付けによる摩擦力で止めるか、キーを使って物理的に止める必要がある
以上です。
正しい位置決めは、製品のばらつきをなくすためにも必須。
部品の位置決めで悩んでいるという方は、ぜひ今回紹介した内容を参考に設計してみてください!
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