「よどみ点ってなんだっけ?」
「熱力学を勉強してきたけど、流れのある気体だとどうなる?」
「熱力学と流体力学の関係が知りたい…!」
このような疑問を解決します。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は機械設計士として働いています。
本記事では、熱力学を学ぶ第7ステップとして、「流れのある気体の熱力学」について解説します。
この記事を読むとできるようになること。
- 流れのある気体の熱力学がわかる
- よどみ点とは何かがわかる
- 流路と流速の関係がわかる
- ロケットエンジンの仕組みがわかる
今までは主に静止している気体の熱力学について勉強してきましたが、今回は流れのある気体の熱力学について解説します。
熱力学の勉強もいよいよ終盤。
やや発展的な内容になるので、「こういうのがあるんだ」という感じで理解してもらえればOKです。
前回の記事はこちら。
流れのある気体の熱力学
前回までの記事では、流れのない状態における気体の状態変化に着目して、熱力学を説明してきました。
一方で、現実には流れをともなった気体の状態変化も存在します。
たとえば、ロケットエンジンの内部では、高温・高圧の気体が流速を変化しながら状態量を変化させることで、推力を発生しています。
高温・高圧の燃焼ガスが膨張することによって、熱エネルギーを流れの運動エネルギーに変換しているのです。
このように、高圧気体が流路を流れると、膨張によって圧力p・温度Tは低下しますが、流速uが増加することによって運動エネルギーが増加します。
したがって、流れのある気体では(熱エネルギー)+(運動エネルギー)によって、エネルギー保存則が成立しているのです。
よどみ点
流れのなかで流速が0になる点をよどみ点と言います。
よどみ点では「流速u = 0」のため、運動エネルギーも0、圧力p・温度T・密度ρはそれぞれ最大になっています。
また、このときの圧力・温度・密度をそれぞれ「よどみ点圧力」「よどみ点温度」「よどみ点密度」と言います。
末細ノズルと末広ノズルの流れ
気体の流れでは、流路(ノズル)形状が気体の状態に影響を与えます。
具体的に言うと、さきほど説明したように気体は膨張することで、圧力を流速に変換できます。
断熱膨張の場合、気体の温度が下がるので流速はさらに増加します。
つまり、流れのある気体は、流路の形状が気体の状態(流速・圧力・温度)に大きく影響するということです。
上図のように、流路の先が細くなっているノズルを末細ノズル、先が太くなっているノズルを末広ノズルと言います。
それぞれの特徴は、以下のとおり。
- 末細ノズル:圧力pと温度Tが低下して、流速uが増加
- 末広ノズル:圧力pと温度Tが増加して、流速uが低下
ちなみに、気体ではなく液体の場合は、圧力を流速に変換するだけで、液体の温度はほとんど変わりません。
これが、水力学と熱力学の本質的な違いと言えます。
水や空気などの流体の運動に関する学問。
送水管やガス輸送管の設計、ポンプ、タービンなどの流体機械の設計に使われる。
ロケットエンジンの推力
さきほどの末細ノズルと末広ノズルを組み合わせたノズルは、ラバーノズルとよばれています。
ラバーノズルを使うと、超音速流れが得られるため、ロケットエンジンやジェットエンジン、蒸気タービンなどに使われています。
ロケットエンジンでは、エンジン内で火薬を燃焼させ、発生した高温の燃焼ガスをエンジン出口から噴出して推力を得ます。
これを式であらわすと、以下のとおり。
(推力F)=(燃焼ガスの流速u)×(燃焼ガスの質量流量m)
上式から、より大きな推力を得るためには、燃焼ガスの流速を大きくする必要があることがわかります。
エンジン内の燃焼ガスが高温・高圧に保たれているのは、エンジン出口における燃焼ガスの流速を大きくするためです。
実際の設計では、大きい推力を得るために耐熱・耐圧性に優れたエンジンを開発する必要がありますが、材質や重さ、エンジンの大きさなど、さまざまな制約があります。
こういった条件を考慮しながら、いかに要求仕様を満たすモノを作れるかが、エンジニアとしての腕の見せどころと言えるでしょう。
まとめ:流れのある気体は熱力学と流体力学の組み合わせ
以上、流れをともなう気体の状態変化について説明しました。
流れのある期待では、熱力学に加えて流体力学の知識も必要になります。
今回はやや発展的な内容も含まれていますが、流体を扱う設計や開発をする方には必須の知識です。
一度で理解できなかったという方は、繰り返し読んで、内容を理解できるようにしてみてください。
次の記事はこちら。
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