「熱力学とはどういう学問…?」
「そもそも熱ってなに?」
「熱エネルギーが仕事をするってどういうこと?」
このような疑問にお答えします。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は機械設計エンジニアとして働いています。
本記事では、熱力学を学ぶ第1ステップとして、「熱力学とはどういう学問か」をわかりやすく解説します。
この記事を読むとできるようになること。
- 熱力学とはどういう学問かがわかる
- 熱力学が機械設計の仕事にどう役立つかがわかる
- 熱エネルギーと仕事の関係がわかる
熱力学は4大力学の1つ。
機械設計をやるうえで必ず必要な知識ですので、確実に理解しておきましょう。
熱力学とはどういう学問?
熱力学とは、その名のとおり「熱」を「力」に変換するための学問です。
熱はエネルギーであり、機械的なエネルギー(仕事)に変換することができます。
具体的に言うと、たとえば密閉された容器を加熱すると、中の気体が膨張して容器が破損します。
これは、熱を加えることによって、中の気体の圧力が上昇し、容器を内側から押したことが原因です。
つまり、熱エネルギーが、容器を押すという力学的エネルギーに変換され、外部の空気に対して仕事をしたことを意味します。
このように、熱力学は気体の圧力に関する学問が主体です。
熱エネルギーを、いかに有効に機械的エネルギー(仕事)に変換するかを考えるのが、熱力学を学ぶうえで重要な概念の1つと言えます。
熱力学は機械設計の仕事にどう役立つ?
熱力学とはどういう学問かがわかったところで、熱力学が機械設計の仕事にどう使われるのかについて説明します。
さきほど言ったように、熱力学は熱エネルギーを機械的エネルギーに変換するための学問です。
したがって、機械設計では、熱を利用して何かの機能を果たす製品を設計する際に熱力学の知識が必要になります。
最も代表的な例は、自動車のエンジンです。
自動車のエンジンは、熱を仕事に変換してクルマを動かす「熱機関」。
ガソリンの燃焼によって得られた熱エネルギーを力学的エネルギーに変換し、ピストンを高速で動作させてクルマを動かします。
熱エネルギーを機械的エネルギー(仕事)に変換する装置のこと。
ガソリン+空気のような熱源が必要。
そのほかにも、エアコンや冷蔵庫、ストーブ、調理器具など、熱力学が関係する製品は身の回りにたくさんあります。
多くの場合は、熱だけでなく流体の流れや、物体の熱応力なども考慮する必要があるので、熱力学、流体力学、材料力学など様々な分野の知識が必要になります。
熱とエネルギーの関係
つづいて、熱とエネルギーの関係について説明します。
さきほどの例では、エンジンの燃焼によって「熱エネルギー」が「力学的エネルギー」に変換されると説明しました。
ここで言う熱エネルギーとは、気体分子の内部エネルギーのことです。
気体分子は、空間の中をランダムに飛び回っており、この運動エネルギーが気体分子の内部エネルギーに相当します。
(厳密には、気体分子は並進・回転・振動の3つのエネルギーを持っていますが、機械設計をやるうえではそこまで理解しなくてもOKです。)
容器を加熱すると、気体分子の運動が加速するため、内部エネルギーが上昇して容器を内側から押す仕事となります。
物体Aが物体Bに対して力Fを及ぼして、力の方向に距離d移動した時、力Fは物体Bに仕事をしたと表現します。
仕事(W)= 力(F)× 距離(d)
熱エネルギー → 力学的エネルギーの変換ですが、容器に入れられた気体は、容器の内側の壁に衝突すると、速度の大きさと向きを変換させます。
これによって気体分子は運動量の変換を行い、それが壁に対して外向きの力となって壁面に作用する圧力となります。
このように、熱力学では、気体の圧力に関する学問が主体です。
熱エネルギーをいかに有効に機械的エネルギー(仕事)に変換するかを考えるのが、僕たち機械設計エンジニアの仕事と言えるでしょう。
まとめ:熱力学は熱エネルギーを機械的エネルギーに変換する学問
記事のポイントをまとめます。
- 熱力学は、「熱」を「力」に変換するための学問
- 熱エネルギーとは、気体分子の内部エネルギーのこと
- 気体に熱を加えると、内部エネルギーが上昇し外部に仕事をする
- 熱エネルギーをいかに有効に機械的エネルギー(仕事)に変換するかを考えるのが機械エンジニアの仕事
以上です。
熱力学は、機械設計エンジニアに必須の知識です。
今回紹介した内容は、熱力学を利用して仕事をするうえで基礎となる知識ですので、ぜひ繰り返し勉強して理解しておきましょう。
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