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【粘性・粘性力・粘性係数とは】水と油の違いでわかりやすく解説

【粘性・粘性力・粘性係数とは】水と油の違いでわかりやすく解説流体力学
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「粘性ってなに?」

「流体に摩擦力が働くってどういうこと?」

「粘性係数の計算方法が知りたい…!」

このような疑問を解決します。

こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。

2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は機械設計士として働いています。

本記事では、流体力学を学ぶ第2ステップとして「粘性とは何か」を解説します。

この記事を読むとできるようになること。

  • 粘性とはどういう性質かがわかる
  • 粘性係数の意味と計算方法がわかる
  • 流体に働く摩擦力と抵抗の原理がわかる

水や空気のような実在流体には「粘性」があります。

粘性は流体の種類によって異なり、「サラサラの水」「ドロドロの油」といった違いが生まれるわけです。

運動量保存則やベルヌーイの定理といった流体力学の重要な概念にも関係していく内容なので、確実に理解しておきましょう。

前回の記事はこちら

粘性とは

粘性とは、ずばり「流れを妨げようとする性質」のこと。

たとえば、油は粘性が高いため、水に比べて流れにくいです。

油がドロドロして流れにくそうだなというのは、感覚的にもわかると思います。

水と油

粘性力とは

もう少し詳しく説明するために、管内を流れる流体について考えてみましょう。

分子の衝突

流体が管内を流れる場合、管壁と流体分子との間で衝突が行われています。

この衝突によって、流体分子の速度は減速されて、運動量も減少します。

さらに、運動量が減少した分子は、管壁から離れた分子とも衝突して運動量の交換を行います。

その結果、流体全体として運動量が減少し、流れが妨げられるのです。

このような分子の衝突によって運動量が失われる現象が粘性であり、管壁や流体分子間に働く摩擦力が粘性力となります。

粘性係数とは

粘性の大小を表す数値が粘性係数[Pa・s]です。

粘性係数が大きいほど、流体の粘性力(摩擦力)は大きくなり、「粘性が高い」と言います。

たとえば、水は粘性係数が小さく、油は粘性係数が大きいといった感じ。

代表的な粘性係数の値を、以下に載せておきます。

代表的な流体の粘性係数

流体の種類粘性係数 (Pa・s)
マヨネーズ8.0
潤滑油5.8×10-2
エタノール1.1×10-3
8.9×10-4
空気1.8×10-5

ここで、粘性係数は圧力によって変化せず、温度によって変化するという性質があります。

液体は温度が低いと粘性が大きく、気体は温度が高いと粘性が高くなります。

液体と気体で逆の性質を示すので注意が必要です。

水と空気の粘性係数(圧力0.1MPa)

温度 (℃)水の粘性係数 (Pa・s)空気の粘性係数 (Pa・s)
01.79×10-31.71×10-5
201.00×10-31.81×10-5
400.65×10-31.90×10-5
600.47×10-32.00×10-5
800.36×10-32.09×10-5

また、粘性係数はサザーランドの公式という式で求められますが、機械設計の仕事で使う分には覚えなくてもOK。

ネットで「水 粘性係数」のように検索すれば、上記のように調べられます。

大切なのは、次に説明する粘性係数と動粘性係数の関係です。

粘性係数と動粘性係数の違い

粘性係数は、粘性力(摩擦力)の大小を表す係数ですから、流体が静止している時と流れている時で値が異なります。

ここで、流体が静止している時の値が静粘性係数μ、流れている時の値が動粘性係数νです。

静粘性係数と動粘性係数の違い

動粘性係数ν[m2/s]は、静粘性係数μ[Pa・s]と流体の密度ρ[kg/m3]を使って、以下のように表せます。

ν = μ / ρ

式を見ると、密度が大きい流体ほど、動粘性係数は小さくなることがわかります。

つまり、質量が重い流体は流れやすく、軽い流体は止まりやすいということです。

  • 重い流体 → 流れやすい
  • 軽い流体 → 止まりやすい

これは、個体と個体に働く摩擦力を考えると、理解することができます。

たとえば、自動車は、軽自動車よりもトラックの方がブレーキをかけてから止まるまでに時間がかかります。

つまり、質量の重いトラックは流れやすく、質量の軽い軽自動車は止まりやすいということです。

ちなみに、気体の場合は密度が圧力によって大きく変化するため、粘性係数⇔動粘性係数の変換をするときは注意が必要になります。

まとめ:粘性の意味を理解して使いこなそう

まとめ:粘性の意味を理解して使いこなそう

記事のポイントをまとめます。

  • 粘性とは、流れを妨げようとする性質のこと
  • 壁や流体分子の間に働く摩擦力が粘性力
  • 粘性の大小を表す数値が粘性係数
  • 粘性係数は圧力によって変化せず、温度によって変化する
  • 重い流体は流れやすい、軽い流体は止まりやすい

以上です。

粘性は、流体力学の基礎となる重要な概念です。

機械設計の仕事においては、具体的な式を暗記する必要はありませんが、現象や式の意味を理解しておくことが大切。

一度で理解できなかったという方は、ぜひ読み返して使いこなせるようになってみてください。

次の記事はこちら。

コメント

  1. ふわふわ より:

    「式を見ると、密度が大きい流体ほど、動粘性係数は高くなることがわかります。」
    が、正しくは
    「式を見ると、密度が大きい流体ほど、動粘性係数は低くなることがわかります。」
    なのでは?

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