「半導体業界はなぜ給料が高いの?」
「何歳で年収いくらくらい貰える?」
「年収の高い半導体企業を教えてほしい!」
「今は給料が高いけど、将来性はどうなの?」
このような疑問にお答えします。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は半導体製造装置メーカーで機械設計エンジニアとして働いています。
今回は、「半導体業界の年収」に関する疑問にお答えします。
半導体業界は、全体的に年収が高い企業が多いです。
一方で、「年収アップで半導体業界への転職を考えているけど、そもそもなぜ給料が高いか気になる」という方も多いはず。
本記事では、半導体製造装置メーカーで働く僕がその理由をお答えします。
実際に僕の給料事情についてもお話するので、ぜひ参考にしてください。
半導体業界の平均年収
冒頭で言ったとおり、半導体業界は年収が高い業界です。
たとえば、2021年の平均年収ランキングを見ると、11位レーザーテック(1,310万円)、20位東京エレクトロン(1,179万円)、57位アドバンテスト(980万円)、64位ディスコ(965万円)、164位信越化学工業・ローツェ(848万円)と、トップ200に6社ランクインしています。
一言で「半導体業界」といっても、半導体メーカーの他に半導体を生産するための装置をつくる製造装置メーカー、半導体製造に必要な材料を生産する材料メーカー、半導体の卸売を担当する半導体商社など、さまざまな企業が存在しています。
半導体メーカーはインテルやサムスンなどの海外企業が強いですが、製造装置メーカーや材料メーカーは、世界トップシェアを誇る日本企業も多いのが特徴。
以下に、代表的な半導体関連メーカーの一覧を載せておきます。(※平均年収はネットに記載されている金額を掲載)
業種 | 企業 | 平均年収 |
---|---|---|
半導体メーカー | キオクシア | 1,128万円 |
半導体メーカー | ルネサスエレクトロニクス | 882万円 |
半導体メーカー | ソニーセミコンダクタソリューションズ | 863万円 |
製造装置メーカー | 東京エレクトロン | 1,285万円 |
製造装置メーカー | SCREENホールディングス | 822万円 |
製造装置メーカー | アドバンテスト | 1,019万円 |
製造装置メーカー | レーザーテック | 1,379万円 |
製造装置メーカー | ディスコ | 1,140万円 |
製造装置メーカー | 荏原製作所 | 757万円 |
製造装置メーカー | ローツェ | 1,123万円 |
製造装置メーカー | 東京精密 | 750万円 |
材料メーカー | 信越化学工業 | 855万円 |
材料メーカー | SUMCO | 604万円 |
材料メーカー | JSR | 744万円 |
材料メーカー | 東京応化工業 | 859万円 |
材料メーカー | トリケミカル研究所 | 735万円 |
材料メーカー | HOYA | 798万円 |
部品メーカー | SMC | 852万円 |
部品メーカー | CKD | 681万円 |
部品メーカー | 堀場製作所 | 620万円 |
半導体商社 | マクニカ・富士エレホールディングス | 1,873万円 |
半導体商社 | 加賀電子 | 780万円 |
半導体商社 | トーメンデバイス | 852万円 |
半導体商社 | 東京エレクトロンデバイス | 872万円 |
僕(入社4年目)の年収
さきほどは、ネットに載っているいわゆる”平均年収”を紹介しました。
ここではもっと具体的に、僕自身の給料事情についてお話します。
僕(製造装置メーカーの機械設計4年目)の年収はざっくり以下のとおり。
- 年収:600〜800万円
- 残業:50h/月
- 勤務地:地方
大学院の修士卒4年目でこの金額は、かなり多い方じゃないかなと思います。
ただし、基本給が高いというよりは、残業代とボーナスで稼いでいる感じ。
残業は多い月で60〜70時間ぐらいの時もありますし、深夜残業(22時以降)や休日出勤があったりすると、給料は増えます。
ボーナスに関しても、この記事を書いている2022年現在は半導体業界全体が好業績なので、普段よりもかなり「良い額」もらえていると思います。
実際、会社の先輩の話を聞いていても「昔に比べて今は年収が上がった」と言う人が多いです。
これが半導体業界が給料が高い理由の1つで、次の章で説明します。
半導体業界の給料が高い理由3つ
半導体業界の給料が高い理由は、主に3つです。
景気が良い
1つ目は、さきほど言ったように景気が良いこと。
2022年現在は、新型コロナでリモートワークが普及したこともあり、通信機器に使われる半導体の需要が急増しました。
そのため、業界全体として業績が良く、その分ボーナスが増えて給料も高くなりました。
半導体業界は昔から、好況と不況を繰り返しています。
たとえば、新型コロナで半導体不足になると、半導体の受注は急増します。
半導体メーカーは、生産能力を増やすために設備投資を積極的に行いますし、設備増強のために製造装置や材料の発注も増えて、業界全体として業績が良くなるのです。
一方で、新しい設備が稼働して生産が追いついてくると、半導体は供給過剰になります。
すると半導体の価格も下がりますし、設備投資も抑えられるため、業界全体が不況に陥るといったイメージです。
ちなみに、このような半導体業界が好況と不況を繰り返す景気循環を「シリコンサイクル」と呼びます。
景気が良いときは業績に連動してボーナスが上がり給料も増える、一方で、景気が悪いときはボーナスも下がって給料も低くなるというのが、半導体業界の特徴といえるでしょう。
利益率が高い
2つ目は、利益率が高いこと。
とくに、日本は製造装置メーカーが強く、営業利益率を見るとレーザーテック36%、アドバンテスト27.5%、ディスコ36.1%、東京エレクトロン29.9%と高利益率が目立ちます。(製造業の平均営業利益率は4.6%で、営業利益率20%以上は超優良企業と言われる。)
利益率が高いということは、それだけ開発費や社員の給料に回せるお金も多いということなので、必然的に給料は高くなります。
ちなみに、製造装置メーカーに高利益率企業が多い理由は、技術力の高い製品をつくれること。
いわゆる「良い製品だから高くても売れる」状態であり、それだけ利益率も高くなるのです。
ただし、技術力の高い製品をつくるためには、研究・開発に投資するほかに、次に説明する優秀な人材の確保が重要になります。
人材確保
良い製品をつくるためには優秀な社員を確保する必要があり、優秀な社員を確保するためには、年収が高いことが1つの条件です。
近年の半導体業界では、この給料を高くして優秀な学生を確保する傾向が顕著になっています。
実際、僕の会社でも「昔に比べて高学歴の新入社員が増えた」「今だったら自分(の学歴)では入社できない」と言う先輩社員は多いです。
たしかに、周りを見ても高学歴の若手社員が多いです。
また、中途採用も積極的に行っているので、そもそも人手不足というのが半導体業界の実情と言えます。
半導体業界の将来性
年収が高い半導体業界ですが、「今後もこの状態は続くの?」と疑問に思う方は多いですよね。
確実なことは言えませんが、一般的にはAIやIoT、自動運転といった技術の発展、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進によって今後も半導体の需要は伸びると言われています。
したがって、年度によって好況・不況の波はあれど、長い目で見たら半導体業界の将来性は明るいというのが僕の意見です。
デジタルトランスフォーメーションの略。
デジタル技術を用いて、生活やビジネスを改革・変容させること。
年収は高いし将来性もあるけど、その分仕事は忙しく大変というのが、半導体業界の特徴。
残業も多いですが、今後も発展していく業界なので、「ガンガン働いて稼ぎたい」「最先端の研究・開発がしたい」という方には向いている仕事かなと思います。
まとめ:半導体業界の年収は高いけど、その分仕事は大変
記事の内容をまとめます。
- 半導体業界には、年収が高い企業が多い
- 半導体メーカーは海外企業、製造装置メーカー・材料メーカーは国内企業が強い
- 半導体業界の年収が高い理由は、景気が良い・利益率が高い・人材確保の3つ
- 技術発展によって半導体の需要は今後も見込めるため、将来は明るい
以上です。
半導体業界は、仕事が忙しい分、給料は高く、最先端の技術に触れられる仕事です。
働いて稼ぎたい方や、最先端の研究・開発がしたい方にはおすすめの業界。
半導体メーカーから、製造装置メーカー、材料メーカー、部品メーカーまでいろんな企業があるので、興味がある方はぜひ一度調べてみてください。
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