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【摂氏・華氏・絶対温度】温度単位3つの違いをわかりやすく解説

【機械設計と熱力学2】3つの温度単位(摂氏・華氏・絶対温度)を理解しよう熱力学
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「温度の単位で摂氏(℃)・華氏(°F)ってあるけど、違いがわからない…」

「絶対温度についても教えてほしい…!」

このような疑問にお答えします。

こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。

2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は機械設計エンジニアとして働いています。

本記事では、熱力学を学ぶ第2ステップとして、「3つの温度単位の違い」について解説します。

この記事を読むとできるようになること。

  • 摂氏温度(℃)・華氏温度(°F)の違いがわかる
  • 絶対温度とは何かがわかる
  • 3つの温度単位の換算ができるようになる

今回の内容は、機械設計で重要というよりも、熱力学を理解するうえで重要な話です。

機械設計の仕事では、普段の生活でもよく使う摂氏温度(℃)を使うことがほとんどですが、具体的な計算をする場合は絶対温度(K)を使います。

また、アメリカやイギリスなど、海外の一部の国では華氏(°F)が一般的に使われているため、覚えておくと海外出張などでも役に立つはず。

ぜひ参考にしてみてください。

前回の記事はこちら。

華氏温度(°F)とは

華氏温度(°F)とは

華氏温度は、英語で「Fahrenheit(ファーレンハイト)」と言い、ドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイトによって定義されました。

今回紹介する3つの中で一番初めに作られた単位で、人類の経験から発明された温度です。

具体的に説明すると、華氏の起源は中世のヨーロッパ。

当時ヨーロッパでは、羊が生活に欠かせない食料源として大切にされていました。

しかしながら、羊は病気になりやすく、羊の健康状態を判断するため体温測定は日課。

体温計がないので、手のひらで羊の体温を測定し、異常がないかどうかを確認していました。

つまり、羊の体温は当時の人々にとって重要な温度の指標だったのです。

また、当時の漁師は小舟に乗って漁をしながら暮らしていたため、海が凍る氷結が最大の関心事でした。

海が凍ると漁に出られないのはもちろん、場合によっては船が氷で閉じ込められて動けなくなる可能性があるからです。

そこで、海水が氷結する温度を特定の温度の基準として生活していました。

華氏温度の定義

このような背景から、ファーレンハイトは正常な羊の体温を100(°F)と、海水の氷結温度を0(°F)として、その100等分を1(°F)と定義したのです。

華氏は当時の人々の生活から生まれた温度単位と言えます。

羊の体温だとあいまいなため、現在では華氏温度は以下のように定義されています。

  • 水が氷になる温度(凝固点):32(°F)
  • 水が沸騰する温度(沸点):212(°F)

華氏が用いられる主な国

アメリカ、イギリス、ジャマイカ、パラオ、バハマ、ケイマン諸島

※現在は、ほとんどの国で摂氏℃が用いられています。

摂氏温度(℃)とは

摂氏温度(℃)とは

摂氏温度は、英語で「Celsius(セルシウス温度)」といい、スウェーデンの天文学者アンデルス・セルシウスによって定義されました。

華氏温度は、人々の経験から発明された単位で日常生活に便利ですが、科学的な観点からはやや中途半端で不便さがあります。

そこで、セルシウスはどこにでもあるに注目し、新しい温度の単位を提案しました。

具体的には、水の凍り始める温度を0、水の沸騰する温度を100として、その間を100等分して1℃と定義しています。

  • 水が氷になる温度(凝固点):0(℃)
  • 水が沸騰する温度(沸点):100(℃)

また、水は1立方センチメートルで1グラムなので、1グラムの水を1℃上昇させるのに必要な熱量が1(cal)と定義されました。

ほかにも、摂氏温度の発明によって、水と蒸気の関係が明らかにされたり、蒸気機関が考案されたりと、その後の産業の発達に大いに貢献しています。

華氏温度よりも科学的かつ実用的なのが、摂氏温度の特徴です。

ちなみに、華氏と摂氏の変換は以下のとおり。

  • 摂氏(℃) = (華氏(°F) – 32 ) / 1.8
  • 華氏(°F) = 摂氏(℃) × 1.8 + 32

いちいち計算するのは面倒なので、ざっくり以下のように覚えておくと便利です。

  • 100°F(37.8℃):気温35℃を超える猛暑日
  • 80°F(26.7℃):夏の気温
  • 60°F(15.6℃):春や秋の気温
  • 50°F(10.0℃):冬の気温
  • 30°F(-1.1℃):気温が0°を下回る真冬日

絶対温度(K)とは

絶対温度(K)とは

さいごに、絶対温度について説明します。

現在では、世界的に摂氏温度(℃)が定着していますが、科学技術の発達にともなって摂氏でも不便さが増してきました。

そこで、世界的な基準温度としてSI単位系が導入され、絶対温度K(ケルビン)が採用されます。

前回の記事で、気体分子は空気中をランダムに飛び回っており、気体分子の内部エネルギーを持っていると説明しました。

気体の温度を下げていくと分子の運動が鈍くなり、内部エネルギーも小さくなります。

そして、温度が−273.16(℃)になると、気体分子の運動が停止してエネルギーが存在しない状態になります。

そこで、このエネルギーが存在しない状態の温度を0(K)とし、絶対温度を定義したのです。

  • 0(K) = -273.16(℃)
  • 300(K) = 26.9(℃)

ちなみに、エネルギーが存在しない状態の温度を絶対零度0Kと言います。

絶対零度は理論的な値で、実際に気体を絶対零度まで下げる方法は今のところありません。

現状、絶対零度は誰にも作り出せない温度なのです。

まとめ:機械設計で使うのは摂氏温度(℃)

まとめ:機械設計で使うのは摂氏温度(℃)

記事のポイントをまとめます。

  • 華氏温度(°F)は人々の生活から発明された単位
  • 摂氏温度(℃)は水に注目して科学的に定義された単位
  • 絶対温度(K)は熱力学に不可欠な温度

以上です。

今回は、熱力学を学ぶ第2ステップとして、3種類の温度単位を紹介しました。

冒頭でも言いましたが、僕たちが機械設計の仕事で使うのは摂氏温度(℃)。

華氏温度(°F)は、アメリカやイギリスで使われているので、大体何℃になるかだけでも覚えておくと便利です。

また、絶対温度(K)は学術的に使われる単位。

大学のテストや研究など学術的な分野では必須の知識と言えるでしょう。

次の記事はこちら。

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