「半導体製造装置について勉強したい」
「エッチングってどんなプロセス?」
「具体的な処理内容や装置の仕組みを教えてほしい」
このような疑問にお答えします。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は半導体製造装置メーカーで機械設計エンジニアとして働いています。
本記事では、半導体製造装置を学ぶ第5ステップとして「エッチング装置の特徴」をわかりやすく解説します。
この記事を読むとわかること。
- エッチングプロセスの内容がわかる
- エッチング装置の種類がわかる
- エッチング装置のシェアが高いメーカーがわかる
前回解説したリソグラフィープロセスと同じく、エッチングは半導体の微細化に不可欠な技術。
リソグラフィーで形成したレジストパターンに忠実に微細加工を行う必要があります。
今回は、そんなエッチングプロセスの内容から、装置の仕組みやエッチング装置を製造しているメーカーをわかりやすく紹介します。
ぜひ参考にしてください。
半導体のエッチングプロセスとは
エッチングは、リソグラフィープロセスで形成した回路パターンにそって膜を削る工程です。
薬液を使って化学反応で膜を削るウェットエッチングと、ガスやプラズマを用いて膜を削るドライエッチングの2種類に分かれます。
ウェットエッチングは、「等方性エッチング」と言って全方向に等しくエッチングされるのが特徴。
一方のドライエッチングは、削りたい方向のみエッチングできる「異方性エッチング」です。
パターンや膜の種類によって使い分けられますが、微細加工においては、削りたい方向にのみエッチングできるドライエッチングが主流となっています。
気体を構成する分子が電離して陽イオンと電子に分かれて運動している状態。
気体の温度が上昇すると気体分子は解離して原子になり、さらに温度が上昇すると陽イオンと電子に分かれる(電離)。
エッチング装置の仕組み
エッチング装置の基本的な構成は上図のとおり。
プラズマを発生させるためのガス導入機構や、高周波を印加する電極があります。
プラズマ発生のメカニズム
さきほど解説した「プラズマ」は、エッチングだけでなく成膜やアッシングなど他のプロセスでも用いられています。
ここでは、そんなプラズマの発生方法を紹介します。
プラズマとは、簡単に言うと電離した気体です。
高周波を印加することで発生した電子を、ガス分子に衝突させることで、プラズマが発生します。
これを図で表すと以下のとおり。
実際の処理では、まずチャンバーを真空にして所望のガスを導入します。
その後、圧力を調整して高周波を印加すると、放電して電子が発生しプラズマが生成するといった流れです。
エッチング装置のシェアが高いメーカー
さいごに、エッチング装置をつくっている製造装置メーカーにはどんな会社があるかを紹介して記事を終わりたいと思います。
今回解説したドライエッチング装置のシェアが高いメーカーは、アメリカのラムリサーチ、アプライドマテリアルズ、そして日本の東京エレクトロンです。
ラムリサーチ(Lam)
ラムリサーチは、アメリカのカリフォルニア州に本社を置く世界第3位の半導体製造装置メーカーです。
ドライエッチング装置ではシェア1位を獲得しており、およそ50%を占めます。
エッチング以外では、成膜や洗浄装置も高いシェアを持っています。
東京エレクトロン(TEL)
東京エレクトロンは、ドライエッチング装置でシェア2位を獲得しています。
半導体製造装置メーカーとしては日本1位、世界でも4位にランクインしている企業です。
本社は東京の赤坂にあります。
アプライドマテリアルズ(AMAT)
アプライドマテリアルズは、アメリカのカリフォルニア州シリコンバレーに本社を置く世界第1位の半導体製造装置メーカーです。
ドライエッチング装置ではシェア3位を獲得しており、成膜やCMP装置などでも高いシェアを獲得しています。
まとめ:エッチングは膜を削るプロセス
記事の内容をまとめます。
- エッチングは、リソグラフィーで形成したレジストパターンにそって膜を削る工程
- 薬液を使うウェットエッチングと、プラズマを使うドライエッチングがある
- ウェットエッチングは等方性、ドライエッチングは異方性である
- 微細加工においては、異方性のドライエッチングが主流
- プラズマは電離した気体で、高周波を印加して放電させることで発生させる
- ドライエッチング装置でシェアが高いのは、アメリカのラムリサーチ・アプライドマテリアルズ、日本の東京エレクトロン
以上です。
エッチングプロセスは、半導体の微細化に欠かせない工程。
新しい技術もどんどん開発されているので、より詳しく知りたい方は、参考書やネットで調べてみると勉強になります!
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