「新卒で機械設計をやっているけど、流体力学がわからなくて困っている…」
「流体力学を勉強したいけど、何から始めればいいかわからない」
「おすすめの勉強法があれば知りたい…!」
このような疑問や悩みにお答えします。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は製造装置メーカーで機械設計士として働いています。
今回は機械設計の仕事をするうえで必須な「流体力学の基礎知識」を解説します。
機械系なら、大学の授業で流体力学を学びますが、「就職したら忘れてしまっている…」という方も多いですよね。
機械設計の仕事では、圧力損失の計算や流体力学の知識をよく使います。
本記事では、流体力学が機械設計の仕事にどう役立つかといった話から、ベルヌーイの定理や圧力損失などの具体的な計算方法まで、10ステップでわかりやすく解説します。
これから流体力学を勉強する方や、若手機械設計士の方にぜひ参考にしてもらいたい内容です。
初心者が流体力学の基礎を習得するための10ステップ
設計初心者が流体力学を勉強するならこの順番という流れで、10個のステップにわけて解説していきます。
はじめのうちは、完璧に理解できなくてもOK。
実際ぼくも、仕事でわからないことが出てきたら、その都度ネットや本で調べたりしています。
まずはザッと読んでみて、自分の仕事に関係がありそうな所があれば、2回3回と読み返してみるのがおすすめ。
ステップ1:流体力学とはどういう学問かを理解しよう
まずは、流体力学がどういう学問かを知り、機械設計の仕事にどう役立つかを理解しましょう。
流体力学の知識は、身の回りの様々な製品に使われています。
条件によって、流体力学の式や定理が適用できる場合・できない場合があるので、どういう時に流体力学が使えるかを理解しておくことが大切。
下記記事では、ここら辺をわかりやすく解説しています。
ステップ2:流体が持つ粘性を理解しよう
つづいては、流体の「粘性」について。
粘性とは、流体が持つ流れを妨げようとする性質のことです。
たとえば、油は粘性が高いため、水に比べて流れにくい(粘性が大きい)といった感じ。
油がドロドロして流れにくそうだなというのは、感覚的にもわかると思います。
粘性は、ベルヌーイの定理や圧力損失の式など、流体力学でもよく出てくる使われるので、ここで確実に理解しておきましょう。
ステップ3:ベルヌーイの定理を理解して使いこなそう
ベルヌーイの定理は、流体力学の中でも非常によく使う式です。
たとえば、2点間の圧力差を求めたい場合や、流速を求めたい場合などに使えます。
ベルヌーイの定理とは、ずばり流体のエネルギー保存則のこと。
非定常流れや粘性流体には使えないといった適用条件があります。
式自体はネットで検索すれば出てくるので、わざわざ暗記しなくてもOK。
機械設計では、式を覚えるよりも、意味を理解して使いこなせることが大切です。
ステップ4:水頭を理解して使いこなそう
つづいては、ベルヌーイの定理の応用である水頭について。
水頭とは、流体のエネルギーを水の高さの単位(m)で表したものです。
言葉だけだと少しわかりずらいかと思いますので、下記記事では2つの具体例を使って解説しています。
ベルヌーイの定理と同様、こちらもよく使われる概念ですので、確実に理解しておきましょう。
ステップ5:身の回りにある渦を知ろう
次は、渦について。
渦とは、流線が同心円上に回転している流れのことです。
海で発生する渦潮や、台風、竜巻、洗濯機の中の水など、身の回りの様々なシーンで渦を見つけることができます。
たとえば、飛行機が飛べる原因の1つに、翼まわりに発生する渦があります。
他にも渦が利用されている製品はたくさんあるので、理解しておくと機械設計の仕事でも役立つでしょう。
ステップ6:レイノルズ数を理解しよう
レイノルズ数も、流体力学を扱うならほぼ必ず出てくる知識です。
レイノルズ数を計算すると、流体が層流か乱流かを見分けることができます。
他にも、粘性係数を求める場合や、圧力損失を計算する場合に使われるので、ここでしっかり理解しておきましょう。
ステップ7:圧力損失を計算してみよう
つづいては、配管の圧力損失について。
配管に液体が流れると、上流側に比べて下流側は水圧が低下します。
これを配管の圧力損失といいます。
圧力損失はエネルギー損失であり、圧力損失が大きいということは流体が流れにくいということです。
機械設計では、圧力損失の少ない配管(製品)を設計することが重要になってきます。
ステップ8:境界層とは何かを理解しよう
ここからは、やや発展的な内容になります。
境界層とは、流れの中に置かれた物体の周辺に発生する、流速が主流よりも遅くなっている領域のことです。
たとえば、野球の変化球が曲がる原理には、この境界層の流れが関係しています。
少し難しい内容になりますが、下記記事では野球の変化球を使ってわかりやすく解説しているので、ぜひ理解できるようになってください。
ステップ9:超音速流れについて理解しよう
こちらも、やや発展的な内容。
気体の高速流れについてです。
流速が音速よりも速い流れのことを超音速流れと言います。
流体力学的に言うと、「マッハ数が1以上の流れ」です。
超音速流れでは、衝撃波と呼ばれる圧力の波が発生します。
また、熱エネルギーの変化もともなうので、熱力学や伝熱工学の知識も必要です。
ジェット機やロケットの設計をする方などは専門的に勉強するかと思いますが、それ以外の方も触りだけは知っておくと面白いです。
ステップ10:参考書で流体力学の知識を深めよう
ここまでで流体力学の基礎はひと通り解説してきましたが、より深く学びたい方は参考書で勉強するのがおすすめです。
下記記事では、僕が実際に使ってよかったと感じた参考書を紹介しています。
興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ:機械設計には流体力学の知識が必須
以上、流体力学の基礎と勉強法を紹介しました。
大学の授業よりも噛み砕いて解説したつもりですが、1回読んだだけじゃイマイチ理解できなかったという方も多いと思います。
機械設計の知識は、座学よりも、実際に仕事で使いながら調べたり勉強したりした方が確実に習得が早いです。
僕自身、「仕事でわからないことが出てくる→ネットや本で調べる→設計に活かす」という経験を繰り返しながら、今回紹介した内容を覚えてきました。
「半分くらいしか理解できなかった」という方は、実際に仕事で使うようになってから、また本記事を読み返してみることをおすすめします!
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