「機械設計って難しそうだけど、やっぱりセンスが必要なの?」
「材料力学や熱力学の授業は苦手だったけど、大丈夫かな…」
「実際に働いている人は、どんな人が多いんだろう」
このような疑問にお答えします。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は製造装置メーカーで機械設計士として働いています。
今回は、「機械設計にセンスは必要かどうか」という疑問にお答えします。
結論として、機械設計にセンスは必要ですが、なくても大丈夫です。
実際は経験によって覚えていくことが多いので、僕みたいな凡人でもなれます。
本記事では、僕自身の経験をもとに、機械設計におけるセンスの磨き方も解説するので、ぜひ参考にしてください。
機械設計におけるセンスとは
センスと言うと、「生まれつきの才能」というイメージがありますが、機械設計で言うセンスは違います。
僕が思う機械設計におけるセンスは、以下の2つ。
順番に説明していきます。
最適な機構を選択できる
1つ目は、最適な機構を選択できること。
要求仕様に応じて、最適な形状・材料・部品を選定できる人は、機械設計エンジニアとして優秀だと思います。
もう少し具体的に言うと、たとえば材料選定なら「強度が欲しいからSUS304を使おう」「耐食性が欲しいからSUS316にしよう」「断熱したいから樹脂がいいかな」といった感じ。
要求される特性に応じて適切な材料を選択するためには、センスが必要になります。
また、要求仕様に加えて、コストや加工性、部材の納期を意識できる人はより素晴らしいです。
たとえば、「SUS304を選定してたけど、納期を早めたいから加工性が良いSUS303に変更する」といった感じ。
材料や部品自体の特性を理解して、コストや納期を意識した設計ができるのが優秀な設計士と言えます。
不具合を事前にイメージできる
2つ目は、起こり得る不具合を頭の中でイメージできること。
トラブルを事前に想定し、不具合が起こらない設計ができる設計士は優秀です。
たとえば、ヒーターを設計する場合、「この部品まで熱が伝わるから、部品同士の熱膨張差でここが壊れる可能性がある」といった感じ。
もちろん、設計完了後は実際に評価し、不具合があったらフィードバックをかけますが、事前にトラブルを想定できれば、この時間が短縮できます。
ほかにも、「スペースが狭すぎて工具が入らなかった(組み立てできなかった)」「位置決めが不十分で、部品同士がズレてしまった」など。
不具合の少ない設計は、時間もコストも減らせてありがたいです。
機械設計にセンスは必要だけど、なくてもOK
ここまで、機械設計に必要なセンスを2つ挙げましたが、「新人でここまで考えるのは無理だよ…」と感じた方も多いと思います。
結論として、機械設計にセンスは必要ですが、新人のうちはぶっちゃけなくてもOK。
なぜなら、さきほど挙げた2つは、もともと持っている才能というよりも、経験によって身につくものだからです。
たとえば、最適な部品や材料を選定するためには、まずそれぞれの特徴を知る必要があります。
大学の授業では、「こっちの材料の方が耐食性が高い」といった知識は教えてくれますが、「どちらがコストが安い」「部材の調達納期はコレくらいかかる」みたいな内容までは教えてくれません。
したがって、新人のうちからいきなり最適な機構を選定できる人はいなくて、経験を積みながら覚えていくのが普通です。
また、2つ目についても、いきなり不具合ゼロの設計をできる人はいません。
「設計→トラブル発生→フィードバック」という経験を繰り返しながら、不具合のない設計ができるように成長していくのです。
実際、僕自身もまだまだ勉強中の段階ですし、僕の周りでも「この人センスあるなぁ」みたいな人ってかなり少ないです。
機械設計は才能よりも、経験が重要視される仕事と言えます。
機械設計におけるセンスの磨き方
では、機械設計のセンスを磨くにはどうすればいいかという話ですが、僕はインプットとアウトプットの両方が大切だと思っています。
インプットというのは、機械設計の勉強をすること。
具体的には、4大力学や材料、機械加工などの勉強です。
大学の試験のようなテスト勉強は必要ありませんが、「この材料はこういう特性がある」「切削加工はこういう特徴がある」といった知識を勉強することで、設計のときに役立ちます。
先輩が書いた図面を見たり、過去のトラブル事例を調べたりするのも勉強になるでしょう。
一方、アウトプットというのは、ずばり設計業務です。
さきほどインプットした知識を使って、実際に「設計→フィードバック」を繰り返すことで、一歩ずつですが確実に成長していきます。
もちろん、最初から不具合のない設計をすることは不可能です。
ミスをしたら落ち込むのではなく、「どうやって改善しよう」「次はこうすればいいかな」といった考え方をする習慣をつけるのが大切です。
まとめ:機械設計に天才は必要ない
以上、機械設計における「センスとは何か」、「センスの磨き方」について説明しました。
何度も言っていますが、機械設計では才能よりも経験が大切です。
ITエンジニアで言うところの「天才プログラマー」である必要はありません。
設計して、不具合やミスを経験しながら成長していくことで、センスのある機械設計エンジニアになることができますよ。
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