「超音速流れってなに?」
「音速より速い流れってどういうこと?」
「衝撃波ってどんな現象?」
このような疑問を解決します。
こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。
2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は機械設計士として働いています。
本記事では、流体力学を学ぶ第9ステップとして「超音速流れと衝撃波」について解説します。
この記事を読むとできるようになること。
- 超音速流れとは何かがわかる
- マッハ数がわかる
- 衝撃波とは何かがわかる
流速が音速を超える流れは、超音速流れと呼ばれます。
超音速流れでは、流体の温度が高くなることから、熱力学や伝熱工学も関係してきます。
やや発展的な内容ですが、流体力学の最終ステップです。
図を使ってなるべくわかりやすく解説しますので、ぜひ理解できるようになりましょう。
前回の記事はこちら
マッハ数とは
はじめに、「マッハ数」について説明します。
マッハ数とは、音が伝わる音速と、流体の速度である流速の比のことです。
音速をa(m/s)、流速をu(m/s)とすると、マッハ数Mは以下となります。
M = u/a
流速uが音速と等しくなるとき、マッハ数M=1となります。
子どもの頃、「めちゃくちゃ速く」という意味で「マッハで行く」「マッハで終わらせる」などと使っていましたが、流体力学的に言うと「音速よりも速く」という意味になるのですね。
超音速流れとは
流速が音速よりも速い流れのことを超音速流れと言います。
さきほど説明したマッハ数が1以上となる流れです。
気体の流れが高速になってくると、気体の温度も変化してきます。
すなわち、気体分子の運動エネルギーが熱エネルギーに変換されているということです。
流体のエネルギー保存則であるベルヌーイの定理は、流体の熱エネルギーが変化しないことを適用条件としていました。
したがって、超音速流れではベルヌーイの定理は適用できません。
気体の高速流れでは、熱エネルギーの変化を考慮したエネルギー保存則が必要であり、熱力学や伝熱工学の知識も必要になります。
ちなみに、マッハ数1以下の流れを亜音速流れ、マッハ数0.8〜1.2の流れを遷移音速流れ、マッハ数5以上の流れを極超音速流れと言います。
マッハ数 | 流れ |
---|---|
0~1 | 亜音速流れ |
0.8~1.2 | 遷移音速流れ |
1.2~5 | 超音速流れ |
5以上 | 極超音速流れ |
衝撃波とは
衝撃波とは、音速を超えて伝わる圧力波のことです。
「圧力波ってなに?」という方のために、具体的に説明します。
たとえば、飛行機が飛んでいるとき、前方から流れてくる空気(気体分子)は機体に衝突せず、避けるように流れていきます。
しかしながら、機体の速度を上げると、下図のように分子の逃げ場がなくなって機体前方の圧力が増加します。
さらに機体の速度を上げると、圧力が急激に増加して衝撃波となるのです。
ちなみに、この急激に圧力が増加するときの流速が遷移音速流れです。
衝撃波は、さきほど説明したマッハ数が0.8以上の遷移音速流れから発生します。
マッハ数 | 流れ | 衝撃波 |
---|---|---|
0~1 | 亜音速流れ | なし |
0.8~1.2 | 遷移音速流れ | あり |
1.2~5 | 超音速流れ | あり |
5以上 | 極超音速流れ | あり |
また、衝撃波の発生例としては、火山の噴火や雷などが挙げられます。
機械設計においては、ジェット機の他に、衝撃波を利用した金属成形技術、食品加工技術などがあります。
まとめ:流れが音速を超えると、衝撃波が発生する
記事の内容をまとめます。
- 音速と流体の速度の比をマッハ数という
- マッハ数が1以上の流れを超音速流れという
- 超音速流れでは熱エネルギーの変化を考慮したエネルギー保存則が必要
- 超音速流れでは衝撃波が発生する
- 衝撃波の例としてはジェット機の他に、金属成形や食品加工技術がある
以上です。
今回は、やや発展的な内容として超音速流れと衝撃波について解説しました。
「音速」や「マッハ数」については何となくしか理解してなかったという方も多いと思います。
ぜひ、この機会に超音速流れを勉強してみてください。
コメント