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弾性変形と塑性変形の違いをわかりやすく解説

弾性変形と塑性変形の違いをわかりやすく解説材料力学
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「弾性変形と塑性変形の違いがわからない…!」

「どっちがどっちかわからなくなる…。」

このような疑問を解決します。

こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。

2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は機械設計士として働いています。

本記事では、材料力学を学ぶ第4ステップとして「弾性変形と塑性変形の違い」について解説します。

この記事を読むとできるようになること。

  • 弾性変形とは何かがわかる
  • 塑性変形とは何かがわかる
  • 実際の設計で気をつけるべき点がわかる

弾性変形と塑性変形は、材料の強度や安全率などにも関係する重要な概念です。

機械設計をやるうえでも必ず使う知識ですので、確実に理解しておきましょう。

前回の記事はこちら。

弾性変形とは

弾性変形とは

弾性とは、「物体に力を加えると変形し、その力を取り除くと元の形にもどる性質」のことです。

したがって、弾性変形とは、力を取り除くと元の形にもどる変形のことを言います。

たとえば、スポンジに力を加えるとつぶれますが、力を取り除くとスポンジは元の形にもどります。

また、バネを引っ張ると長さが伸びますが、引っ張るのをやめると元の長さに戻ります。

このような変形が、弾性変形です。

金属やプラスチックなどの硬い材料もこれと同じ性質を持っており、「力を加えると変形し、取り除くともとに戻る」という弾性変形をしています。

ただし、力を加えすぎると材料が元の形に戻れなくなり、次に説明する塑性変形となってしまいます。

塑性変形とは

塑性変形とは

塑性とは、「物体に力を加えると変形し、その力を取り除いても元の形にもどらない性質」のことです。

したがって、塑性とは、力を取り除いても元の形に戻らない変形のことを言います。

たとえば、カステラを手でつぶすと、ぺしゃんこになって手を離しても元の大きさに戻りません。

また、バネは引っ張る力が強すぎると、引っ張るのをやめた後も少し伸びた状態になります。

このように、力を取り除いても元の形に戻らない変形が塑性変形です。

実際の設計にどう関係する?

実際の設計にどう関係する?

一般に、材料に力を加えていくと弾性変形を経て、塑性変形に移行します。

たとえば、一般的な材料の応力-ひずみ線図は以下のとおり。

弾性変形と塑性変形
  • a:比例限度・・・応力とひずみの比例関係がなくなる(フックの法則の限界)
  • b:弾性限度・・・応力を取り除くとひずみが消滅して元の長さに戻る限界
  • c:降伏点(上)・・・ひずみが急激に増加する
  • d:降伏点(下)・・・応力が急激に増加する
  • e:最大強度点・・・最大応力を示す点(引張強度)
  • f:破断点・・・材料が破断する

点a(比例限度)まではフックの法則(σ=εE)が成り立ち、応力はひずみに比例します。

また、点b(弾性限度)までは、材料が伸びていても、応力を取り除くと元の長さに戻ることができます。

しかしながら、点bを超えると、力を取り除いても材料は元の長さに戻ることができません。

さらに、点c(降伏点)を超えると材料は塑性変形となり、最後は点fで破断します。

このように、材料に過度な力がかかると、弾性変形、塑性変形を経て材料が破断します。

したがって、機械設計では、材料にかかる荷重が弾性限度より小さくなるような機構の設計・材料の選定を行う必要があります。

これに加えて、実際の設計では、想定外の荷重がかかっても壊れないよう製品の安全率を考慮しなければいけません。

安全率については、次のステップ5で解説しますので、ぜひこちらも合わせて理解しておきましょう。

まとめ:弾性変形はスポンジ、塑性変形はカステラ

弾性変形と塑性変形の違いをわかりやすく解説

記事のポイントをまとめます。

  • 力を取り除くと元の形にもどる変形が弾性変形
  • 力を取り除いても元の形に戻らない変形が塑性変形
  • 材料は弾性変形を経て、塑性変形に移行する
  • 実際の設計では、かかる力が弾性変形の範囲内に収まるよう設計することが重要

以上です。

今回は、弾性変形と塑性変形の違いを解説しました。

「どっちがどっちかわかりづらい…」という方は、「弾性変形はスポンジ、塑性変形はカステラ」をイメージすると覚えやすいかと思います。

実際の設計では、次に説明する安全率も重要な概念ですのて、ぜひ合わせて理解しておきましょう。

次の記事はこちら。

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