機械設計エンジニアの仕事について知るには、まず「機械設計の種類」を知ることが必要です。
「機械設計ってどんな仕事をするの?」
「”機構設計”や”構造設計”って聞いたことあるけど、いまいちよくわからない」
「それぞれどんなスキルが必要で、どういう人が向いているのか知りたい」
このような疑問に、現役メカエンジニアの僕が回答します。
「機械設計の種類」を理解すれば、機械設計がいかに重要で、世の中に不可欠な仕事かがわかるはず。
それではまいりましょう。
エンジニアの種類
エンジニアは、「目に見えるモノを設計するハードウェアエンジニア」と、「モノを動かすためのプログラムを設計するソフトウェアエンジニア」の2種類に大きくわかれます。
たとえば、自動車のボディやエンジンを設計するのがハードウェアエンジニア、自動運転のプログラムを組むのがソフトウェアエンジニアです。
さらに、ハードウェアエンジニアは、製品の構造を設計する機械設計エンジニアと、回路や基板の設計をする電気設計エンジニアに分かれます。
世の中にある多くの製品は、まずモノ(機械)があり、電気を動力として、プログラムで動きます。
したがって、1つの製品をつくり上げるには、ハードウェアエンジニアとソフトウェアエンジニア両方の力が必要なのです。
ちなみに、大学の学部で言うと、機械設計エンジニアが機械工学科、電気設計エンジニアが電気電子工学科、ソフトウェアエンジニアが情報工学科といった感じ。
僕は大学院の機械工学科を卒業して、新卒で機械設計エンジニアとして就職したので、いわゆる王道ルートです。
もちろん、卒業後は、自分の専攻と関係のない職業につく人も多いので、あくまでも目安になります。
構造設計と機構設計の違い
構造設計と機構設計は、どちらも機械設計の一部です。
両者の違いは、動きがあるかないか。
車のボディやフレームなど動きのないモノを設計するのが構造設計、駆動部やロボットのアームなど動きのあるモノを設計するのが機構設計です。
また、構造設計の中でも製品の外装を設計する仕事を筐体設計と言います。
構造設計と機構設計は、一概にどちらが簡単・難しいというのはなく、それぞれに必要な知識や条件があります。
たとえば、自動車のボディの設計(構造設計)では、製品の強度計算や流体の流れを考慮して設計します。
また、駆動部の設計(機構設計)ではモーターのギア比や軸にかかる荷重計算が必要です。
機械設計エンジニアとして就職すると、構造設計と機構設計のどちらか一方だけを担当するのではなく、仕事内容に応じて両方を経験できる場合が多いです。
僕も入社1年目は駆動部分の設計を担当していましたが、2年目の後半からは装置の外装の設計を担当しています。
機械設計に必要なスキル
構造設計と機構設計には、それぞれ難しさがあると説明しました。
そこでここからは、それぞれの仕事で具体的にどのような知識やスキルが必要で、どういう人が向いているのかを解説します。
構造設計で必要とされる知識・スキル
構造設計では、材料力学・熱力学・流体力学・機械力学(4大力学)に加えて、製品のデザインや操作性を考慮する必要があります。
たとえば、車のボディなら強度(材料力学)や空気の流れ(流体力学)に加えて、製品のデザインも重要ですよね。
また、スマートフォンやパソコンは、持ちやすさや使いやすさといった操作性を考慮する必要があります。
つまり、構造設計では4大力学の知識に加えて、ユーザーのことを考えて設計できるエンジニアが重宝されると僕は考えています。
機構設計で必要とされる知識・スキル
動きのあるモノを設計する機構設計では、4大力学の知識に加えて、電気設計やプログラムの知識が必要になります。
なぜなら、機械は電気を動力として、プログラムで動くからです。
たとえば、僕が1年目で担当した駆動部の設計では、モーターの動きをプログラムで制御していました。
したがって、単純に各パーツの構造を理解するだけでは不十分で、どういう状況でどういう動作をするかきちんと理解しておく必要があります。
プログラミングができる必要はありませんが、シーケンスやブロック図が理解できる機械エンジニアは重宝されます。
おまけ:機械設計と製図の違い
さいごに、初心者が間違えやすい「設計」と「製図」の違いについて説明します。
製図とは図面を書く作業のことで、図面は部品を作るための設計図です。
僕たち機械エンジニアの仕事は「構想→設計→製図」の流れで進みます。
構想・設計段階では、ここまで紹介してきた4大力学や電気回路、プログラムの知識が必要です。
一方、製図では、JISのルールやCADの操作方法を覚える必要があります。
部品を製造する加工業者さんは、設計士が書いた図面をもとに加工するので、誰が見てもわかりやすい図面を書くことが大切です。
とはいえ、製図のルールやCADの操作方法は、一度覚えてしまえば考えることは少ないです。
設計した部品を図面に起こす作業を「バラシ」というのですが、会社によってはこのバラシ作業は派遣や請負さんに任せている場合もあります。
まとめ:機械設計には種類がある
機械設計の種類についてまとめます。
- 動きのないモノを設計するのが構造設計
- 動きのあるモノを設計するのが機構設計
- 構造設計の中でも、製品の外装を設計するのが筐体設計
- 機構設計では機械の知識に加えて、電気やソフトデザインなど幅広い知識が必要
以上です。
機械設計の仕事は、大学で習った知識よりも仕事をしながら経験して覚えていくことの方が圧倒的に多いです。
実際、僕もまだまだ知らないことばかりなので、少しずつ勉強しながら日々奮闘しています。
記事の内容は随時アップデートしていきますので、ぜひ参考にしてもらえたらうれしいです!
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