鉄鋼材料の種類と特徴まとめ【設計する時の使い分けも解説】

鉄鋼材料の種類と特徴まとめ【設計する時の使い分けも解説】材料

「鉄鋼材料ってどんな種類があるの?」

「それぞれの鉄鋼材料の特徴を教えてほしい」

「実際の設計ではどうやって使い分ければいいの?」

このような疑問を解決します。

こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。

2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は機械設計士として働いています。

本記事では、材料を学ぶ第3ステップとして「鉄鋼材料の種類と特徴」をわかりやすく解説します。

この記事を読むとできるようになること。

  • 鉄鋼材料の製造方法がわかる
  • 鉄鋼材料の種類と特徴がわかる
  • 正しい材料を選定できるようになる

適切な材料選定ができることは、機械設計の基本。

中でも鉄鋼材料は最もよく使われる材料なので、それぞれの特徴をきちんと理解しておきましょう。

鉄鋼材料とは

鉄鋼材料とは

はじめに、鉄鋼とはどんな材料かを、その製造方法から説明します。

鉄鋼材料は、その名のとおり「鉄」を主成分とした材料です。

鉄は空気中の酸素と結びつきやすく、自然界には鉄鉱石や砂鉄といった形で存在しています。

鉄鉱石から取り出した鉄から、不純物を取り除いたものが「鋼(こう)」です。

鋼は含有する炭素Cの量によって性質が変化するため、炭素量を適正にコントロールしたものが、鉄鋼材料として使われます。

「鉄鉱石」 → 「銑鉄(せんてつ)」 → 「鋼(こう)」

鉄鋼材料の炭素量による性質の違いは、以下のとおり。

  • 強さと硬さ・・・炭素量が増えるほど強く硬くなる
  • 加工性・・・炭素量が増えるほど硬くなるため、加工しにくくなる
  • 焼入れ効果・・・炭素量が増えるほど焼入れ効果が高くなる(硬度や耐摩耗性が向上する)
  • 溶接性・・・炭素量が増えると焼き割れが入りやすくなるため、溶接は避ける
  • 溶融温度・・・炭素量が増えるほど溶ける温度は低くなる

強さや硬さ、焼入れがわからない方は、下記記事を参考にしてください。

鉄鋼材料の種類と特徴

鉄鋼材料の種類と特徴

ここからは、鉄鋼材料の種類と特徴を解説していきます。

鉄鋼材料は、①炭素鋼・②合金鋼・③鋳鉄の3つに分類されます。

①の炭素鋼と②の合金鋼は、添加物の種類による違い、③の鋳鉄は加工方法による違いです。

鉄に加える成分の代表格は炭素Cですが、その補助的な役割としてシリコンSi・マンガンMn・硫黄S・リンPがあります。

これらを5大元素と言い、この5大元素のみで構成された鋼が炭素鋼です。

一方、5大元素にクロムCrやニッケルNi、モリブデンMo、タングステンW、コバルトCoなどを加えたものを合金鋼と言います。

強度や耐熱性、耐摩耗性、焼入れ性、耐食性などが高まりますが、その分コストも高くなるのが特徴です。

ちなみに、5大元素の役割は以下のとおり。

硫黄SとリンPは有害成分なので本来はゼロにしたいのですが、やむなく入ってしまいます。

  • 炭素C・・・硬さと強さを高める
  • シリコンSi・・・降伏点と引張強度を高める
  • マンガンMn・・・粘り強さを高める
  • 硫黄S・・・有害成分
  • リンP・・・有害成分

炭素鋼とは

炭素鋼とは

炭素鋼は、炭素量によって分類されます。

種類ごとに市販されている形状も違いますので、設計時は下記を参考にしてください。

品種記号平鋼丸棒四角棒六角棒鋼板形鋼
冷間圧延鋼板SPCC
一般構造用圧延鋼材SS400
機械構造用炭素鋼鋼材S45C
炭素工具鋼鋼材SK95

SPC材(冷間圧延鋼板)の特徴

SPC材は、冷間圧延で製造される厚さ0.4〜3.2mmの鋼板です。

板材のみで、丸棒や四角棒はないので、選定時は注意してください。

炭素量は0.15%以下と低く、炭素鋼の中で最もやわらかいのが特徴です。

大きな力が加わる箇所には向いていませんが、加工性は良好で曲げ加工やプレス加工がよく使われます。

ただし、炭素量が少ないため焼入れの効果は得られません。

また、用途によってSPCC、SPCE、SPCDなどの種類があります。

一般用としてはSPCCと、SPCCに亜鉛電解めっきを施したSPCEがよく使われます。

SS材の特徴

SPC材の次に炭素量が多いのが、SS材です。

板材だけでなく、丸棒や四角棒などバリエーションが多いので、汎用材として最もよく使われます。

SSの後に続く数字によって、引張強さが保証されています。

たとえば、SS400は引張強さ400[N/mm2]、降伏点245[N/mm2]です。

したがって、実際の設計ではこれらの数字から安全率を計算し、強度に問題がないかを確認することになります。

また、加工性、溶接性は良好ですが、SPC材と同様に炭素量が少ない(0.20%以下)ので焼入れの効果は得られません。

S-C材の特徴

S-C材も市販性が高く、SS材についでよく使われている材料です。

Sに続く数字が炭素量の割合を表しており、たとえばS45Cは炭素量が0.45%となります。

JIS規格ではS10C(炭素量0.10%)からS58C(炭素量0.58%)まで20種類ありますが、実際の設計でよく使われるはS45CとS50Cです。

炭素量が多いほど強く硬くなるので、SPC材、SS材よりも硬くなります。

炭素量0.3%以上になると焼入れ効果も高いので、SPC材やSS材と違い熱処理によって機械的性質を向上させられるのが特徴です。

SK材(炭素工具鋼)の特徴

SK材は、炭素量が0.6%〜1.5%と鋼の中で最も多い材料です。

1番の特徴が硬さ耐摩耗性で、工具としてよく使われるので炭素工具鋼という名称が付けられています。

機械部品では、その硬さと耐摩耗性を活かしてピンやシャフトに使われることが多いです。

ただし、SK材は高温になると硬さが低下するため、高温部には向いていません。

実際の使用は200℃以下が目安です。

高温部に使用する場合は、あとで説明する合金鋼のSKH材を使用します。

合金鋼とは

合金鋼とは

つづいて、合金鋼の種類と特徴を説明していきます。

さきほど言ったように、炭素鋼の5大元素に加えて他の金属を添加したのが合金鋼です。

炭素鋼に比べて性能は向上しますが、添加する元素が増える分コストも高くなります。

また、形状や寸法のバリエーションも少ないので、炭素鋼では要求を満たせない時にのみ使用するのが普通です。

SUS材(ステンレス鋼)の特徴

合金鋼の中で最もよく使われるのが、ステンレス鋼です。

5大元素にクロムCrとニッケルNiを加えることで、耐食性(サビに強い性質)を向上させています。

炭素鋼でも、めっきなどの表面処理を施せば、サビにくくすることは可能です。

しかしながら、実際に使用していると傷や摩耗によってめっきがはがれてしまうことがあります。

ステンレスを使えば、たとえ表面が傷ついても、材料に含まれるクロムCrが瞬時に空気中の酸素と結びつき酸化クロムの膜(不動態皮膜)をつくって表面を保護してくれるので、長期間使用してもサビずに使えるのです。

また、ステンレスはクロムCrとニッケルNiの含有量によって3つに分類されます。

よく使われるのはSUS304とSUS430ですが、この辺の違いはまた別の記事で紹介しようと思います。

(記事を作成中ですので、しばらくお待ちくださいm(__)m)

SK〜材(合金工具鋼・高速度工具鋼)の特徴

炭素鋼のところで紹介したSK材で要求を満たせないときには、合金の工具鋼を選定します。

SKS材、SKD材、SKT材は、5大元素にクロムCr、タングステンW、バナジウムVなどを添加して、耐摩耗性・耐熱性・焼入れ性を向上させています。

工具に使われるほど硬いので、材料自体の加工性は良くないのが特徴です。

機械構造用合金鋼(SCr・SCM・SNC・SNCM材)の特徴

こちらは、S-C材(機械構造用炭素鋼)の合金鋼バージョンです。

名称には、Sの後に主要な元素記号がつきます。

クロムCrとモリブデンMoを加えたクロムモリブデン鋼鋼材(SCM材)は「クロモリ」と呼ばれ自転車のフレームや六角穴付きボルトに使われています。

また、ニッケルNiを加えて粘り強さを向上させたSNC材や、ニッケルとモリブデンを加えて引張強さも向上させたSNCM材などがありますが、材料価格が高いため、実際の設計ではできるだけSCr材やSCM材を検討します。

機械設計では、強度と粘り強さが必要なシャフトや歯車などの部品として使われます。

超硬合金の特徴

超硬合金は、名前のとおり非常に硬い材料です。

炭化タングステンWC、コバルトCo、炭化チタンTiCなどを添加してつくります。

特徴としては、耐摩耗性が良好で高温でも硬度が低下しないので、工具などに採用されています。

ただし、デメリットとして価格が高いこと、粘り強さが小さく衝撃に弱いことなどがあげられます。

ハイテン鋼(高張力鋼)の特徴

ハイテン鋼は高張力鋼板とも呼ばれ、非常に高い引張強さを持っているのが特徴です。

具体的には、炭素鋼SS400の引張強さ400[N/mm2]に対して、ハイテン鋼は2倍以上の800〜1000[N/mm2]になります。

強度が強いため板厚を薄くして軽量化することができ、自動車のボディなどに用いて車体の軽量化・燃費向上に貢献しています。

ハイテン鋼については、成分や製法の研究が進められており、今後の進歩が期待される材料の1つです。

鋳鉄とは

鋳鉄とは

さいごに、鋳鉄(ちゅうてつ)を紹介して、本記事を終わりたいと思います。

鋳鉄は、ここまで説明してきた鉄鋼材料と加工方法が異なるのが最大の違い。

金属を溶かして型に流し込み冷やして固める加工方法を鋳造(ちゅうぞう)と言いますが、この鋳造に適した材料が鋳鉄です。

鋳鉄には、型が複雑でも溶けた材料がすみずみまで流れることが求められます。

そこで炭素量を多くして融点(溶ける温度)を下げ、型の中でスムーズに流れるように調整されています。

また、鋳鉄は引張よりも圧縮に強いため、選定する場合は圧縮方向に力がかかるような設計にするのがポイントです。

まとめ:鉄鋼材料の特徴を理解して正しく使い分けよう

まとめ:鉄鋼材料の特徴を理解して正しく使い分けよう

以上、鉄鋼材料の種類と特徴をまとめました。

実際の設計ではどう使うかという視点で説明したつもりですが、一度読んだだけでは理解できないと思います。

仕事で材料選定をする際にもう一度この記事を読んでみると、理解がより深まるはず。

最終的には、「こういう用途だからこの材料」というふうに頭の中で考えて材料選定できるようになれば完璧です。

ぜひ本記事を参考に、鉄鋼材料を正しく使い分けられるようになってください!

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