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銅と銅合金の種類・特徴まとめ【用途別の使い分けも解説】

銅と銅合金の種類・特徴まとめ【用途別の使い分けも解説】材料
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「銅の合金ってどんな種類があるの?」

「それぞれの銅合金の特徴を教えてほしい」

「実際の設計ではどうやって使い分ければいいの?」

このような疑問を解決します。

こんにちは。機械設計エンジニアのはくです。

2019年に機械系の大学院を卒業し、現在は機械設計士として働いています。

本記事では、材料を学ぶ第5ステップとして「銅合金の種類と特徴」をわかりやすく解説します。

この記事を読むとできるようになること。

  • 銅と銅合金の種類・特徴がわかる
  • 用途に応じた使い分けがわかる

銅は昔から、農耕具や武器、貨幣など様々なものに使われてきました。

現在では、その優れた導電率と熱伝導性を活かして、身の回りの精密機器や電子部品に用いられています。

本記事を読めば銅の特性がわかり、目的に応じて適切な銅合金を選定できるようになるはず。

ぜひ参考にしてください。

銅の特徴

銅の特徴

さきほど言ったように、銅は導電率と熱伝導率が良いのが最大の特徴です。

一方で価格が高いため、強さや硬さといった機械的性質よりも、導電率や熱伝導率、耐食性といった物理的性質・化学的性質を活かした設計に使われます。

項目単位
(黄銅)

(SS400)
密度×103 kg/m38.927.87
引張強さN/mm2355400
硬さHV85以上120前後
縦弾性係数×103 N/mm2103206
導電率×106 S/m599.9
熱膨張率×10-6 /℃18.311.8
熱伝導率W/(m・k)39880
融点10831530
銅の性質

①導電率

銅は銀についで導電率が高い材料です。

身の回りでは、銅線として電気配線などに使われています。

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②熱伝導率

鉄やアルミよりも優れた熱伝導性を持っています。

たとえば、銅のフライパンは熱が速く伝わり食材を均等に加熱することができるため、熱ムラが少ないのがメリットです。

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③加工性

冒頭で言ったように銅は大昔から使われていますが、その理由の1つが加工のしやすさです。

切削加工や圧延加工が容易なため、昔から身の回りの製品に用いられてきました。

④耐熱温度

銅の融点は1000℃程度ですが、200℃を超えると軟化するため、通常は200℃以下で使用します。

ただし、ベリリウム銅は耐熱性に優れており、600℃まで軟化しません。

⑤耐食性

銅は耐食性に優れており、海水に触れてもサビないのが特徴です。

ただし、塩酸、硫酸、硝酸には侵されるので注意してください。

⑥光沢

金以外で唯一、金色の光沢を持つので、工芸品にも使われています。

⑦非磁性

銅は磁性を持たないので、磁石にはくっつきません。

非磁性を活かして、磁気厳禁の機器などに使われています。

銅合金の種類

銅合金の種類

つづいて、銅と銅合金の種類を紹介します。

生産量で見ると純銅が約50%、黄銅(真ちゅう)が約40%と大半を占めます。

分類種類引張強さ
[N/mm2]
硬度
[HV]
タフピッチ銅C1100245以上75以上
70/30黄銅C2600355以上85以上
65/35黄銅C2680355以上85以上
60/40黄銅C2801410以上105以上
りん青銅C5210470以上140以上
ベリリウム銅C17201240以上180以上
代表的な銅合金の性質

①純銅

銅の純度が99.90%以上で、酸素の含有量によって3種類に分かれます。

酸素が多い順にタフピッチ銅(C1100)、りん脱酸銅(C1220)、無酸素銅(C1020)の3つです。

これらの純銅は、高い導電率と熱伝導率を活かして銅線や電子機器材料に使用されています。

②黄銅(真ちゅう)

銅Cuと亜鉛Znの合金で、「真鍮(しんちゅう)」と呼ばれています。

銅と亜鉛の比率によって、銅70%・亜鉛30%の70/30黄銅(C2600)、銅65%・亜鉛35%の65/35黄銅(C2680)、銅60%・亜鉛40%の60/40黄銅(C2801)の3種類があります。

銅の比率が下がるにつれて引張強さと硬さは増加しますが、60%以下ではもろさが出てくるためラインナップがありません。

70/30黄銅と65/35黄銅は伸びが大きいので、冷間加工性が良いのが特徴。

対する60/40黄銅は、伸びは小さいですが引張強さが大きいのが特徴です。

ちなみに、亜鉛の量が多いほど価格は安くなります。

③りん青銅

銅CuにスズSnを加えた合金です。

高いばね性を活かして、測定器のスイッチの接点材料に用いられています。

④ベリリウム銅

銅CuにベリリウムBeとコバルトCoを加えた特殊合金(C1720)です。

引張強さが高く、高強度材料として使われています。

価格が高く、また加工しにくいため用途は限定されますが、600℃近辺まで使用でき火花が出ない性質から防爆工具などにも用いられています。

まとめ:銅合金の種類と特徴を理解して正しく使い分けよう

まとめ:銅合金の種類と特徴を理解して正しく使い分けよう

以上、銅と銅合金の種類と特徴をまとめました。

たくさんあるので、一度読んだだけでは理解できないと思います。

実際に仕事で材料選定をする際にもう一度この記事を読んでみると、理解がより深まるはず。

最終的には、「こういう用途だからこの材料」というふうに頭の中で考えて材料選定できるようになれば完璧です。

ぜひ本記事を参考に、銅を正しく使い分けられるようになってください!

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